“ヴィンテージマンション”って実際のところどう?不動産のプロに聞いてみた!
都心のタワーマンションもステキだけど、落ち着いたヴィンテージマンションって雰囲気があっていいなぁ、という方も多いのではないでしょうか。一方で、築年数はちょっと古そうだし、購入しても大丈夫かな?と不安に思う気持ちも。今回はそんなヴィンテージマンションについて、自身もヴィンテージマンションを購入し、リノベーションして住んでいるという不動産のプロに話を聞いてみました。
お話を伺ったのは・・・
株式会社サムタイムズ 代表取締役 足立 淳
スタイル工房 ワンストップリノベーション物件探しのパートナー
「中古を買ってリノベ」最初に知っておきたい基礎知識講座/講師
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目次
- ヴィンテージマンションとは?何がヴィンテージなの?
- ヴィンテージマンションの魅力・メリットとは?【ハード面】
- ヴィンテージマンションの魅力・メリットとは?【ソフト面】
- ヴィンテージマンションの課題・デメリットは?【ハード面】
- ヴィンテージマンションの課題・デメリットは?【ソフト面】
- まとめ
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ヴィンテージマンションとは?何がヴィンテージなの?
築年数が経っても資産価値が落ちていないマンション!
ヴィンテージマンションの定義は特に決まったものがあるわけではありません。しかし、築年数が古くなるほど建物の資産価値が下がる不動産の世界で、築年数を経ても人気があり、資産価値を下げていない物件を指すことが多いようです。
足立さんの考えるヴィンテージマンション定義は『1980〜90年代に良好な立地に建てられた高級マンションで、今もなお良好な管理状態が保たれている、主に外観が風合いのあるタイル張りのマンション』。
都心にある代表的なヴィンテージマンションとしては、広尾にある「広尾ガーデンヒルズ」を筆頭に、「ホーマット」シリーズ、「ドムス」シリーズ、「ペアシティ」シリーズなどが有名です。独特な外壁デザインと青い瓦屋根が特徴の「秀和」シリーズもヴィンテージマンションのひとつです。
ヴィンテージマンションの魅力・メリットとは?【ハード面】
◆立地が良い
現在は都心部や人気エリアにはまとまった土地がほとんど残っていません。良い立地に新たにマンションを建設することができないため、新築で立地の良いマンションを手に入れるのはかなり難しくなっています。
しかし、1980年〜90年代はまだ都心部にもマンションを建設する土地がたくさんあり、当時の高級マンションほど立地の良い場所を選んで建てられています。そのため、ヴィンテージマンションには立地の良い物件が多いのです。
◆住環境が良い
前項の “立地” とも関係しますが、多くのヴィンテージマンションは閑静な住宅街に建つ低層(6~7階建程度)の建物です。そのため周辺が静かで落ち着いていたり、大きな公園沿い(パークビュー)など、住環境に恵まれているのも特徴のひとつです。
また、敷地に余裕をもって建てられており、敷地内に管理された植栽がたくさん植えられているマンションが多いのも魅力。緑豊かな住環境を手に入れることができます。
◆建物の品質が高い
1980年〜90年代当時の日本はバブル景気の真っ最中。そのため、高級マンションは建物にしっかりとお金をかけて建てられていました。
例えば、共用部のあまり見えない部分もこだわった贅沢な作りになっていたり、外壁にも今の新築マンションでは使われないような上質な焼き物のタイルが採用されていたり。それらの一つひとつが、ヴィンテージマンションならではの落ち着いた重厚な雰囲気をつくっているのです。
ヴィンテージマンションの魅力・メリットとは?【ソフト面】
◆管理状態が良い
すべてに当てはまるわけではありませんが、多くがその街やブランドを代表するシンボルとして建てられているヴィンテージマンション。そのため管理会社もプライドをかけて、マンションの良好な状態を維持しようと努力しているケースが多いのです。
実際にヴィンテージマンションを内見すると、どのマンションもしっかりと手入れがされており、管理状態の良さを体感することができます。
ヴィンテージマンションの課題・デメリットは?【ハード面】
ここまでで、ヴィンテージマンションの良い点をお伝えしてきました。しかしヴィンテージマンションにも少なからず課題はあります。たとえば次のようなことが考えられます。
◇独特な構造・設備
ヴィンテージマンションには、給湯や空調を個別のガス給湯器や壁付けのエアコンではなく、ホテルのように建物全体でおこなうものが多くあります。これらは全館給湯、全館空調、セントラルヒーティング、HEATS(ヒーツ)などと呼ばれています。
この場合、管理費や修繕積立金に加えて、給湯基本料や空調基本料などの支払いが必要となります。毎月の光熱費が高かったり、設備のメンテナンス・交換に多額の修繕積立金を使ってしまったりというデメリットがあります。
「ランニングコストが高い」と敬遠される方も多いことからなかなか売却しづらく、マンション全体の資産価値が下がってしまうリスクも。個別の設備に切り替えるのが構造的に難しいマンションもあり、この点は大きなデメリットといえるでしょう。
他にもお風呂が在来工法でユニットバスへの交換が難しかったり、給湯は室内に設置された大きな「電気温水器」という巨大なタンクでお湯を作るタイプのものになっていたりと、初めて見ると心配になってしまうかもしれません。
不動産会社の担当者も、このような設備に詳しい方は多くありません。特殊な設備があるマンションを購入する時には、詳しい不動産会社やリフォーム会社に事前に相談するようにしましょう。
◇設備類の老朽化
築30〜40年も経つと、エレベーターや電気設備、配管や配線等はどうしても老朽化してきます。新しいものに交換すればいいでは?と思うかもしれませんが、築古のマンションは構造的な可変性が低く、最新の設備への交換が難しいケースも多くあります。
管理会社や管理組合でどのように対処していくのか、しっかりと話し合う必要があります。
ヴィンテージマンションの課題・デメリットは?【ソフト面】
◇管理組合の高齢化
前項の通り設備類の老朽化対策を検討していかなければなりませんが、居住者の高齢化にともない、積極的に管理組合の議論に参加できる方が減っているマンションもあります。
優良な管理会社がしっかりと先導すれば問題はありませんが、居住者の管理組合への関与が低くなると、適切な維持管理が難しくなるリスクも。この点は非常に重要な課題といえます。
◇継承の問題
築30〜40年となると、相続や売却の話になる部屋も多く出てきます。なかには買取業者が買い取ってリフォームをし、販売するケースもあるでしょう。
もちろん内装は管理規約のルールさえ守られていれば所有者の好きなようにできます。しかし実際はルールを守らずに雑なリフォームがされていたり、明らかにヴィンテージマンションの雰囲気を損なうような利益重視のリフォームがされている物件も多く存在します。
ヴィンテージマンションがこれまで高い資産価値を保ってきたのは、その価値をしっかりと理解できる人が住み継いできたからという側面もあります。継承により、それが損なわれるリスクは少なからず存在します。
まとめ
ヴィンテージマンションならではの魅力や、ヴィンテージマンションのもつ課題、注意点が分かっていただけたのではないでしょうか。築年数が古くてもしっかりとしたつくりで、資産価値が下がりにくいヴィンテージマンション。内装はリノベーションで自分の好みに変えることができます。
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