Vol.3 安心・快適に暮らせる性能をアップ、国から認められて補助金も確保
2017年9月12日(火)
築50年のおじい様の家を、レトロな雰囲気を残しながら、現代のライフスタイルに合わせた安心で暮らしやすい住まいを目指したA様邸のリノベーション。
今回は、その理想を根本から支える耐震・断熱工事をレポートします。
◆ Vol.1 築50年の味を残しつつ、子育てにやさしいこだわりの家を叶えたい
◆ Vol.2 半世紀を生き抜いた骨太な構造が解体工事で明らかに
◆住宅の性能を上げることは家族のためであり、社会貢献にもつながる
「おじいちゃんの残した家で子どもたちをのびのび育てたい」「冬の寒さをなんとかしたい」。そんな想いから始まったA様のリノベーション。当初、快適さに関しては予算もあり、現状より良くなれば充分とのお考えでした。ですが、高いレベルで既存住宅の性能(断熱・耐震など)を上げることは、安心・快適な暮らしが叶うだけでなく、省エネや住宅ストック形成など社会貢献にもつながります。国土交通省が「住宅ストック循環支援事業補助金」を交付しているのもそのため。
国土交通省のwebサイト:https://stock-jutaku.jp
A様邸は補助金の対象となる「住宅のエコリフォーム」を行うことで、より安心・快適・省エネルギーな家を目指しました。快適さを追求するため、1階は断熱等級4相当を目標に。そのため、古い外壁側に内壁をつくり、床と壁に断熱材を隙間なく充填しています。また、最も熱の出入りしやすい窓には、複層LowEガラス入りのアルミ樹脂複合サッシを採用。
床下に充填した分厚い断熱材。底冷えを防ぎます。
窓にはデザイン性と断熱性を兼ね備えたサッシを採用。
外壁にも断熱材を隙間なく施工。
なお「住宅ストック循環支援事業補助金」では、家全体の耐震性能を建築基準法の評点1.0以上に引き上げることを義務付けています。ですから、生活スペースとなる1階に加え、2階まで耐震工事を行うことに。A様邸は築50年で旧耐震の建物に当たります。耐震調査の結果は1階、2階とも現在の耐震基準の3~4割しか耐力がありませんでした。そこで、新たに耐力壁を増やし、偏心率※を考慮してバランスよく配置することで、家全体の耐震性を高めました。
※偏心率:建物には重さの中心(重心)と剛性の中心(剛心)が存在する。これらは通常ズレていて、その度合いを数値化したものが偏心率(数値が低いほど耐震性に有利)。偏心率が高い(重心と剛心のズレが大きい)建物ほど地震などの際に歪みが激しくなり、損壊につながりやすくなる。だから、耐力壁をバランスよく配置し、できるだけ偏心率が低く耐震性に優れた建物にすることが大切。
新しい柱や接合金物で耐震性を強化。
◆予算を増やすことなく、補助金によって2階の耐震補強が実現。
補助金の額は耐震工事で15万円、断熱工事で30万円。合計45万円が予算にプラスされるので、当初予定していなかった2階の耐震工事分が補助金でまかなえる計算になりました。
こうした公的な補助金は色々なものがありますが、一般的にはあまり知られていません。スタイル工房では、様々な補助金の情報を把握し、リノベーション物件ごとにどの補助金に該当するかを見極め、ご提案するようにしています。また、補助金の募集時期や交付条件、金額などはそれぞれ異なり、年度によっても変わりますので、ご相談の際にお問い合わせください。
◆壁や窓を賢く活かすことで、性能アップとコストダウンを両立
リノベーション図面と断熱した箇所(赤枠部分)
快適さを高めながらコストも抑える。そのためには、まず長い時間を過ごす生活スペースをしっかり断熱しました(図面の赤枠部分)。そして、コストダウンのために割り切った箇所もあります。たとえば、元々キッチンがあった北西の角、出窓のように外壁が張り出していた所。ここは今回のリノベーションでバスルームに変更し、断熱をバスルームまでとして、その外にある空間と外壁(青枠Aの部分)は既存のままに。こうすることで断熱工事面積を減らしてコストを抑え、外壁を撤去する費用も省いています。
玄関ドアから続く大きな土間、玄関ホール(青枠Bの部分)も断熱工事をしていません。ここは通過する場所、昭和レトロな雰囲気を楽しむスペースと割り切り、断熱面ではコストダウン。その代わり、しっかり断熱されたLDKや水回りに入れば、快適さが際立ちます。
もう一つ、性能アップとコストダウンを両立させたのが窓(図面Cの位置)。このスペースは元々お祖父様の仕事部屋だった所で、この窓だけ複層ガラスが入っていました。とはいえ、現在の基準からすれば断熱性は低いと言わざるを得ません。そこで、内窓を設けて窓を二重にすることで断熱性能を高めています。この方が最新の高性能サッシに丸ごと取り換えるよりも、コストが省け、断熱性を同等にできるからです。
次回はいよいよ完成レポートになります。リノベーションで間取りも性能も生まれ変わったA様邸。ご家族にリアルな感想や住み心地についてインタビューしてみます。お楽しみに。
今回は、その理想を根本から支える耐震・断熱工事をレポートします。
◆ Vol.1 築50年の味を残しつつ、子育てにやさしいこだわりの家を叶えたい
◆ Vol.2 半世紀を生き抜いた骨太な構造が解体工事で明らかに
◆住宅の性能を上げることは家族のためであり、社会貢献にもつながる
「おじいちゃんの残した家で子どもたちをのびのび育てたい」「冬の寒さをなんとかしたい」。そんな想いから始まったA様のリノベーション。当初、快適さに関しては予算もあり、現状より良くなれば充分とのお考えでした。ですが、高いレベルで既存住宅の性能(断熱・耐震など)を上げることは、安心・快適な暮らしが叶うだけでなく、省エネや住宅ストック形成など社会貢献にもつながります。国土交通省が「住宅ストック循環支援事業補助金」を交付しているのもそのため。
国土交通省のwebサイト:https://stock-jutaku.jp
A様邸は補助金の対象となる「住宅のエコリフォーム」を行うことで、より安心・快適・省エネルギーな家を目指しました。快適さを追求するため、1階は断熱等級4相当を目標に。そのため、古い外壁側に内壁をつくり、床と壁に断熱材を隙間なく充填しています。また、最も熱の出入りしやすい窓には、複層LowEガラス入りのアルミ樹脂複合サッシを採用。
床下に充填した分厚い断熱材。底冷えを防ぎます。
窓にはデザイン性と断熱性を兼ね備えたサッシを採用。
外壁にも断熱材を隙間なく施工。
なお「住宅ストック循環支援事業補助金」では、家全体の耐震性能を建築基準法の評点1.0以上に引き上げることを義務付けています。ですから、生活スペースとなる1階に加え、2階まで耐震工事を行うことに。A様邸は築50年で旧耐震の建物に当たります。耐震調査の結果は1階、2階とも現在の耐震基準の3~4割しか耐力がありませんでした。そこで、新たに耐力壁を増やし、偏心率※を考慮してバランスよく配置することで、家全体の耐震性を高めました。
※偏心率:建物には重さの中心(重心)と剛性の中心(剛心)が存在する。これらは通常ズレていて、その度合いを数値化したものが偏心率(数値が低いほど耐震性に有利)。偏心率が高い(重心と剛心のズレが大きい)建物ほど地震などの際に歪みが激しくなり、損壊につながりやすくなる。だから、耐力壁をバランスよく配置し、できるだけ偏心率が低く耐震性に優れた建物にすることが大切。
新しい柱や接合金物で耐震性を強化。
◆予算を増やすことなく、補助金によって2階の耐震補強が実現。
補助金の額は耐震工事で15万円、断熱工事で30万円。合計45万円が予算にプラスされるので、当初予定していなかった2階の耐震工事分が補助金でまかなえる計算になりました。
こうした公的な補助金は色々なものがありますが、一般的にはあまり知られていません。スタイル工房では、様々な補助金の情報を把握し、リノベーション物件ごとにどの補助金に該当するかを見極め、ご提案するようにしています。また、補助金の募集時期や交付条件、金額などはそれぞれ異なり、年度によっても変わりますので、ご相談の際にお問い合わせください。
◆壁や窓を賢く活かすことで、性能アップとコストダウンを両立
リノベーション図面と断熱した箇所(赤枠部分)
快適さを高めながらコストも抑える。そのためには、まず長い時間を過ごす生活スペースをしっかり断熱しました(図面の赤枠部分)。そして、コストダウンのために割り切った箇所もあります。たとえば、元々キッチンがあった北西の角、出窓のように外壁が張り出していた所。ここは今回のリノベーションでバスルームに変更し、断熱をバスルームまでとして、その外にある空間と外壁(青枠Aの部分)は既存のままに。こうすることで断熱工事面積を減らしてコストを抑え、外壁を撤去する費用も省いています。
玄関ドアから続く大きな土間、玄関ホール(青枠Bの部分)も断熱工事をしていません。ここは通過する場所、昭和レトロな雰囲気を楽しむスペースと割り切り、断熱面ではコストダウン。その代わり、しっかり断熱されたLDKや水回りに入れば、快適さが際立ちます。
もう一つ、性能アップとコストダウンを両立させたのが窓(図面Cの位置)。このスペースは元々お祖父様の仕事部屋だった所で、この窓だけ複層ガラスが入っていました。とはいえ、現在の基準からすれば断熱性は低いと言わざるを得ません。そこで、内窓を設けて窓を二重にすることで断熱性能を高めています。この方が最新の高性能サッシに丸ごと取り換えるよりも、コストが省け、断熱性を同等にできるからです。
次回はいよいよ完成レポートになります。リノベーションで間取りも性能も生まれ変わったA様邸。ご家族にリアルな感想や住み心地についてインタビューしてみます。お楽しみに。