3LDKを2LDKに変更、キッチンの配置を工夫して開放感とふれあいあふれる間取りに 〜Y様邸Vol.4〜
2020年11月9日(月)
リノベーションのリアルな現場をお伝えする「リノベ密着レポ」。
第十二弾は、購入した中古マンションをフルリノベーションした事例です。目指したのは「家族にも環境にもうれしい住まい」。それに対し、プランナーがどんな工夫を凝らしたのか、担当の渡辺に話を聞いてみました。
◆ママが目指した環境保護のきっかけになる住まいとは? 〜Y様邸Vol.1〜
◆国産材の使用で川上から日本を豊かに!? 〜Y様邸Vol.2〜
◆手間暇を惜しまず理想を追求する天竜杉を採用 〜Y様邸Vol.3〜
使い勝手と空間効率を両立させるII型キッチンを提案
——まず、購入された中古マンションの現状はどんな感じでしたか?
渡辺●Y様が望まれたのは、夫婦や親子がのびのび楽しく向き合える間取りでした。それに対し、リノベ前の物件はいわゆる一般的な3LDK。キッチンは対面式ですが、囲まれた感じがあって天井が低く、ダイニングが狭かったんです。
Y様の望むレイアウトではなく、収納も少ない。また、全体的に合板のフローリングやビニールクロスが使われていることもご希望とは違い、ドアを多用していることも気になりました。
Before:キッチンは壁に囲まれ閉鎖的だった
——ご家族の目指す理想を叶えるために、どんな工夫をしましたか。
渡辺●開放感あふれる間取りにするため、3LDKを2LDKに変更しました。お子様は男女のご兄弟ですので、将来的にはもう一部屋必要です。ですが小さなうちは家族みんなで集える広々とした空間を優先させました。
初期提案プラン図
——Y様は以前からダイニングテーブルと横並びのオープンキッチンにこだわられていましたが、それも叶えていますね。
渡辺●ここにもいろいろ工夫を凝らしました。まず、シンクとコンロが一体の長いキッチンにすると、この空間ではダイニングが狭くなってしまいます。そこで、シンクとコンロを分けるⅡ型キッチンをご提案。これならキッチンがコンパクトになり、ダイニングを広く取れますよね。
また、コンロを壁付けにすることでレンジフードも壁付けになり、リビングとの間がスッキリ。低かった天井を高くすることもできて開放感が生まれました。
回遊動線を叶えつつ、ワークトップを拡大するアイデアも
——シンク側は回遊できるようになっていますね。
渡辺●そう、コンパクトなⅡ型にしたからできたこと。ただ、Y様は食器を洗いながら左側に置きたいと希望だったんです。当初の設計ではシンク左はワークトップが狭く、その代わりに通路がありました。
そこで、通路に取り外し可能な天板を造作して、回遊性とワークトップの拡大を両立しました。
取り外し可能な天板は、食器洗いの時に大活躍
——壁側は天井付近まで収納がたっぷりありますが、ここにはどんな工夫が?
渡辺●まず、メインで使う食器類がスムーズに出し入れできる配置にしました。シンクの右側にある食洗機がありますので、そこから取り出した食器類を最短距離でしまえる引き出しを設けています。
食器を洗ってしまうまでの動線をスムーズに!
また、デザイナー・アクセサリー作家であるY様はキッチン周りで必要なモノの量や使いやすい棚の高さなどを細かく指定されました。そのご希望に沿って収納の設計を行い、家具職人にきめ細かく仕上げてもらいました。
収納の中には製作途中のアクセサリーを保管できる高さ5㎝ほどの棚も。フルオーダーメイドだからこそできることです。
家具職人と、現場での細かな打ち合わせ(左) 完成した壁面収納(右)
プライベートとワークスペースの印象的な仕切りにタイルを採用
——なるほど。他に子育てやリモートワークの面で工夫したことは?
渡辺●キッチンはバルコニーやバスルームまで見渡せ、お子様を見守れる配置にしています。それからどこにでも動きやすく、お子様がのびのび走り回れるよう、ドアを最小限に抑え、引戸を設けました。引戸なら開けておいても邪魔になりません。
キッチン〜水回り〜廊下も引戸でつながり、行き止まりなく動けるようにしました。
初期のイメージパース。ここから暮らしのイメージを膨らませていく
——玄関ですが、ホールまでタイルを敷き詰めていますが、その意図は?
渡辺●玄関の奥行きを広く見せる手法でもありますが、本意はプライベートスペースとワークスペースを印象的に分けるためですね。LDKと離れた位置に在宅ワークも多く集中できる空間が必要な旦那様の書斎スペースを設けました。それが玄関ホールの左側です。
玄関ホールにタイルを使うことで、境界線のような雰囲気、視覚的に分離された感じを生み出しています。
右側のプライベートスペースは床に国産の杉材を使った明るくやわらかな印象で、お子様にもわかりやすくなりました。
玄関の天井とワークスペースの境に太い梁が出ていましたが、ご夫妻がこの強い存在感を嫌われましたので、角を丸くする造作を行い、印象をやわらげています。
左側は旦那様のワークスペース、右はLDKへとつながる
——素材に対するこだわりにも的確に対応したと聞いています。
渡辺●もちろんです。天竜杉は赤身と白太を使い分けたり、サクラをキッチンや玄関に使ったり。日本の林業を支えたいというY様のご意向に沿って、天竜杉は国産材を使っています。
窓辺のベンチも国産の杉パネルで造作しましたし、窓の転落防止柵も同じ材です。転落防止柵はお子さまが小さいうちは設置して、大きくなったら外せるように工夫しました。
デザイン的にも無骨にならず、木製ブラインドとも相性がいい仕上げになっています。
窓の転落防止柵は杉パネルで造作
壁には珪藻土を使い、全体的にナチュラルでさわやかな印象に。Y様のこだわりの詰まったお住い、その後の住み心地レポートが楽しみです!
担当したチーフプランナーの渡辺(左)と、施工管理の大石(右)の現場での打ち合わせ
次回は、実際に住まわれた感想やエピソードなどをレポートします。ご期待ください。
第十二弾は、購入した中古マンションをフルリノベーションした事例です。目指したのは「家族にも環境にもうれしい住まい」。それに対し、プランナーがどんな工夫を凝らしたのか、担当の渡辺に話を聞いてみました。
◆ママが目指した環境保護のきっかけになる住まいとは? 〜Y様邸Vol.1〜
◆国産材の使用で川上から日本を豊かに!? 〜Y様邸Vol.2〜
◆手間暇を惜しまず理想を追求する天竜杉を採用 〜Y様邸Vol.3〜
使い勝手と空間効率を両立させるII型キッチンを提案
——まず、購入された中古マンションの現状はどんな感じでしたか?
渡辺●Y様が望まれたのは、夫婦や親子がのびのび楽しく向き合える間取りでした。それに対し、リノベ前の物件はいわゆる一般的な3LDK。キッチンは対面式ですが、囲まれた感じがあって天井が低く、ダイニングが狭かったんです。
Y様の望むレイアウトではなく、収納も少ない。また、全体的に合板のフローリングやビニールクロスが使われていることもご希望とは違い、ドアを多用していることも気になりました。
Before:キッチンは壁に囲まれ閉鎖的だった
——ご家族の目指す理想を叶えるために、どんな工夫をしましたか。
渡辺●開放感あふれる間取りにするため、3LDKを2LDKに変更しました。お子様は男女のご兄弟ですので、将来的にはもう一部屋必要です。ですが小さなうちは家族みんなで集える広々とした空間を優先させました。
初期提案プラン図
——Y様は以前からダイニングテーブルと横並びのオープンキッチンにこだわられていましたが、それも叶えていますね。
渡辺●ここにもいろいろ工夫を凝らしました。まず、シンクとコンロが一体の長いキッチンにすると、この空間ではダイニングが狭くなってしまいます。そこで、シンクとコンロを分けるⅡ型キッチンをご提案。これならキッチンがコンパクトになり、ダイニングを広く取れますよね。
また、コンロを壁付けにすることでレンジフードも壁付けになり、リビングとの間がスッキリ。低かった天井を高くすることもできて開放感が生まれました。
回遊動線を叶えつつ、ワークトップを拡大するアイデアも
——シンク側は回遊できるようになっていますね。
渡辺●そう、コンパクトなⅡ型にしたからできたこと。ただ、Y様は食器を洗いながら左側に置きたいと希望だったんです。当初の設計ではシンク左はワークトップが狭く、その代わりに通路がありました。
そこで、通路に取り外し可能な天板を造作して、回遊性とワークトップの拡大を両立しました。
取り外し可能な天板は、食器洗いの時に大活躍
——壁側は天井付近まで収納がたっぷりありますが、ここにはどんな工夫が?
渡辺●まず、メインで使う食器類がスムーズに出し入れできる配置にしました。シンクの右側にある食洗機がありますので、そこから取り出した食器類を最短距離でしまえる引き出しを設けています。
食器を洗ってしまうまでの動線をスムーズに!
また、デザイナー・アクセサリー作家であるY様はキッチン周りで必要なモノの量や使いやすい棚の高さなどを細かく指定されました。そのご希望に沿って収納の設計を行い、家具職人にきめ細かく仕上げてもらいました。
収納の中には製作途中のアクセサリーを保管できる高さ5㎝ほどの棚も。フルオーダーメイドだからこそできることです。
家具職人と、現場での細かな打ち合わせ(左) 完成した壁面収納(右)
プライベートとワークスペースの印象的な仕切りにタイルを採用
——なるほど。他に子育てやリモートワークの面で工夫したことは?
渡辺●キッチンはバルコニーやバスルームまで見渡せ、お子様を見守れる配置にしています。それからどこにでも動きやすく、お子様がのびのび走り回れるよう、ドアを最小限に抑え、引戸を設けました。引戸なら開けておいても邪魔になりません。
キッチン〜水回り〜廊下も引戸でつながり、行き止まりなく動けるようにしました。
初期のイメージパース。ここから暮らしのイメージを膨らませていく
——玄関ですが、ホールまでタイルを敷き詰めていますが、その意図は?
渡辺●玄関の奥行きを広く見せる手法でもありますが、本意はプライベートスペースとワークスペースを印象的に分けるためですね。LDKと離れた位置に在宅ワークも多く集中できる空間が必要な旦那様の書斎スペースを設けました。それが玄関ホールの左側です。
玄関ホールにタイルを使うことで、境界線のような雰囲気、視覚的に分離された感じを生み出しています。
右側のプライベートスペースは床に国産の杉材を使った明るくやわらかな印象で、お子様にもわかりやすくなりました。
玄関の天井とワークスペースの境に太い梁が出ていましたが、ご夫妻がこの強い存在感を嫌われましたので、角を丸くする造作を行い、印象をやわらげています。
左側は旦那様のワークスペース、右はLDKへとつながる
——素材に対するこだわりにも的確に対応したと聞いています。
渡辺●もちろんです。天竜杉は赤身と白太を使い分けたり、サクラをキッチンや玄関に使ったり。日本の林業を支えたいというY様のご意向に沿って、天竜杉は国産材を使っています。
窓辺のベンチも国産の杉パネルで造作しましたし、窓の転落防止柵も同じ材です。転落防止柵はお子さまが小さいうちは設置して、大きくなったら外せるように工夫しました。
デザイン的にも無骨にならず、木製ブラインドとも相性がいい仕上げになっています。
窓の転落防止柵は杉パネルで造作
壁には珪藻土を使い、全体的にナチュラルでさわやかな印象に。Y様のこだわりの詰まったお住い、その後の住み心地レポートが楽しみです!
担当したチーフプランナーの渡辺(左)と、施工管理の大石(右)の現場での打ち合わせ
次回は、実際に住まわれた感想やエピソードなどをレポートします。ご期待ください。