リノベのコトバ(敷居)
2022年9月2日(金)
リノベのコトバ、今回は「敷居」についてご紹介します。
和室ではポピュラーな、引き戸などをはめ込むために下部に取り付けられた、溝が刻まれた部材のことです。
「二度とウチの敷居をまたぐんじゃねぇ!」といった慣用句にもなっている敷居。「敷居を越える=建物に入る」という意味をもつのは、門の内外を分けるために敷く横木「閾(しきみ)」が語源となっているためです。
敷居は引き戸とともに普及
敷居が広まるのは、室町時代後期以降。個々の部屋を仕切る「書院造」が確立し、引き戸が用いられるようになってからです。
それまでの建築様式である「寝殿造」では、入り口は開き戸かあげ戸で、内部は円柱が並ぶ大きな空間を御簾(みす)や屏風で仕切っていました。
個室という概念とともに、引き戸、ひいては敷居が生まれたともいえます。
敷居の役割と材質
敷居は、建具を受けるレールとしてだけでなく、部屋を仕切る役割も果たしています。そのため敷居には、滑りやすさと丈夫さが求められます。
和室の場合、材質は松が一般的で、ヒノキやサクラ、スギなども使われます。
敷居を踏むのはマナー違反?
「敷居を踏んではいけない」とはよくいわれることですが、理由は諸説あるようです。古くは、刺客は縁の下に潜んでおり、畳や敷居のすき間から刀を差し込んで刺すから、という物騒なもの。
一般的なのは、家の内外を分ける境界は神聖なものだから踏んではいけないという説や、敷居はその家の主人を象徴するものだから踏むと失礼にあたる、という説。
いずれにしても、敷居を日常的に踏むことですり減りやすくなり、建具の滑りが悪くなる恐れがあるため、踏まない方がよいでしょう。