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【プランナー監修】床暖房リフォームのメリット・デメリット、注意するべきポイントは?

2023年12月22日(金)
リフォームやリノベーションで導入した方が、「入れて良かった!」と口を揃えるのが「床暖房」。輻射熱で床を温め、伝導熱と対流熱で部屋全体を温めてくれる床暖房は、熱の感じ方がやわらかく陽だまりのような心地よさ。エアコンのように風が当たって乾燥することもなく、ホコリが舞いにくいという特長もあります。今回は、スタイル工房のチーフプランナーに、床暖房のメリット・デメリットと、リノベの際に確認しておきたいことなどをお聞きしました。


お話を伺ったのは・・・

チーフプランナー 鈴木ゆり子
一級建築士、スタイル工房チーフプランナー。
お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。


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目次

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床暖房のメリット|こんな人にはぜひオススメ!

赤ちゃんのいるおうちや、じっとしている場所に欲しい

冒頭にも触れましたが、床暖房の最大の特長が「優しく快適に暖めてくれること」。

「よく『頭寒足熱』といいますが、エアコンの風が当たらない快適さは床暖房ならでは。一度知ってしまうと、『床暖房がないと生きていけない』とおっしゃるお客様も多いんです」とプランナーの鈴木。

スタイル工房でよく採用されている床暖房は「温水式」で、床下に通したパイプにあたたかいお湯が循環して、部屋をあたためます。他には床下の発熱体に電気を通す「電熱式」がありますが、いずれも火を使わないため安全で場所をとらず、メンテナンスの手間がかからないというメリットがあります。

やけどや事故の心配が少ないため、ペットや赤ちゃんのいるおうちにも安心で、大人も子どもも快適に過ごすことができます。ご高齢の方、持病のある方にもオススメです。

「吹き抜けのリビングなどは熱が上に昇ってしまいエアコンが効きにくいことがあるため、床暖房のメリットを実感できるはず。あまり動かずにゆったり過ごす場所、つまり、リビングやワークスペースに設置することが多いです。最近はヒートショックを避けるために、離れた場所にある洗面脱衣室に導入する例も増えてきました(鈴木)」。

さらに、戸建ての1階リビングは、2階に比べて寒いことが多いため、床暖房を設置する人が多いそう。一度設置すると30年ほど耐用年数があるのも嬉しいところですね。

 

床暖房のデメリット|選べる床が限られることも

あたたまり方も、ゆっくり、じっくり

イイところだらけの床暖房ですが、デメリットはあるのでしょうか?

「フローリングには、床暖房専用の床材を使用する必要があります。スタイル工房では、表面に3ミリ厚の無垢挽板を貼った3層フローリングをよく採用しています。レイヤーフローリングと呼ばれるもので、表面の無垢材の樹種を選ぶこともできます」。

表面は無垢材なので、貼ってしまうと無垢フローリングと変わりなく、木の風合いが楽しめます。しかし、無垢そのものの床ではないため、こだわりの強い人には不向きかもしれません。

「とはいえ、実際にフローリングのサンプルをお見せすると、皆さま『これなら充分』と床暖房用のフローリングを選ばれますね」と鈴木。キッチンなど水まわりには水に強いフロアタイル、寝室には柔らかめのコルクタイルなども選べます。


上からブラックチェリーの複層フローリング、オーク3層フローリング、オーク無垢材

「他のデメリットとしては、床暖房は『ゆっくり、じっくり』というあたたまり方。スイッチをつけてから、部屋全体があたたかくなるまで30分くらいかかります。朝は、タイマーを起きる30分前に設定しておくといいですね」。寒い!すぐにでもあたたかくしたい!という時には他の暖房を併用するのもオススメ、とのことでした。

 

リフォームで床暖房を導入!どんなことに注意が必要?

マンションの場合は、施工可能かまず確認を

「築40年を超えるマンションは要注意です。今は家全体のお湯をひとつの給湯器でつくりますが、昔は台所に瞬間湯沸かし器、お風呂にバランス釜といった具合に、個々の給湯器が設置されていました。そのため、外壁に開いた配管用の穴が小さく、床暖房用の配管が通らないことがあるのです」。別ルートをとることで、配管が長くなって見た目に目立ってしまったり、費用が余計にかかる場合があるということです。

マンションは規約で床仕上げの変更を禁止しているところもあるので、中古購入の場合は先に確認を、と鈴木。床はカーペットのみ、と決められているマンションもあるそうです。

「戸建ての場合は、床暖房を入れるなら結露防止に床下の断熱工事が必要です。また、首都圏でも一部あるのですが、都市ガスが供給されていない地域。プロパンガスで床暖房を使うとランニングコストが高くなるため、電気式のヒートポンプ室外機を設置する必要があります」。その場合、床暖房の設置とは別に、この室外機に10万円ほどの費用がプラスされます。

ちなみに、中古で買った物件に床暖房がすでに入っているけれど、フローリングは変えたい!という場合。上から床暖房対応のフローリングを貼ることで対応可能です。床そのものを貼り替えるとなると、床暖房パネルも入れ替えなければいけないのです。

 

床暖房リフォームの事例① 大きな窓や吹抜けも暖かく

築38年の中古戸建てを購入&リノベーション

ここからは、実際に床暖房を導入したリノベーション例をご紹介します。



緑豊かな郊外に中古戸建てを購入し、都心から移り住んだご家族。
窓から望む木立ちをめいっぱい楽しめるよう、リビングに大きな窓をつくりました。
地形上、窓から近隣の視線が入ることもないため、FIX窓でカーテンもつけていません。



さらに、ダイニングには伸びやかな吹き抜けも新設!
開放感にあふれたLDKですが、窓が多い大空間ということで、心配なのは冬の寒さ。
断熱材の充填やサッシの交換とともに、床暖房を設置することで快適な住環境を叶えています。

 

床暖房リフォームの事例② 薪ストーブと組み合わせて

実家を継承し、セカンドライフを豊かに暮らす

事例①とは逆のパターンで、栃木から都内の戸建てに移住されたご夫婦のリノベーションです。
子どもたちも独立し、両親から受け着いた家で夫婦ふたりの暮らしを始めることにしました。



こちらのおうちも、1階に新たに吹き抜けを設けてリビングにしました。
吹き抜けでは、栃木から移設されたという薪ストーブの煙突が存在感を放っています。



薪のはぜる音や炎の揺らぐ様子に癒される薪ストーブ。
とても暖かいのですが、細かい温度調節は難しいため、床暖房との組み合わせはかなり有効。
薪ストーブ+低めの温度に設定した床暖房で、寒い日も安定して部屋をあたたかく保つことができます。

 

まとめ

床暖房の設置は、床をはがすようなそれなりに大規模の工事が必要です。逆に考えれば、スケルトンリフォームを検討しているのであれば、床暖房設置のチャンス。一度知ってしまうと「無しの生活は考えられない」という床暖房、寒がりさんはもちろん、気になる方はぜひご相談ください。
 
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