【プランナー監修】スケルトンリフォームで何ができる?メリット・デメリットは?
2024年1月22日(月)
間取りを全て変えて、内装も好きなようにしたい!そんな時に出てくる言葉「スケルトン」。柱や梁、床などといった建物の要となる構造体の仕上げをせず「躯体」だけの状態を指しますが、では「スケルトンリフォーム」ってどんな工事?メリットやデメリットはあるの?などなど、気になるポイントをスタイル工房のチーフプランナーに聞いてきました。
お話を伺ったのは・・・
チーフプランナー 鈴木ゆり子
一級建築士、スタイル工房チーフプランナー。
お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。
マンションも戸建ても、天井高を上げるなど、空間を生かすための工事や間取り変更を伴う工事をスケルトンリフォーム(またはスケルトンリノベーション)とすることが多いようです。
「戸建ての場合、外壁まで撤去する場合をフルスケルトンと呼んだり、リフォームは元の建物の状態や予算、住む人のこだわりによって、どこまでやるかはケースバイケースですね。住宅性能そのものを上げたり、間取りをガラッと変えるならスケルトン工事が必要になります」。
【工事中】
例えば弊社の新高円寺リノベーションギャラリーの、マンションのスケルトンリフォームの一例。
間取り・設備等を全て変更して、外周内壁も全てはがして断熱材を全面に吹き付けています。
断熱材は外との境界部分(壁・床・天井)に入れるため、内壁を撤去するような大規模リフォームだからこそ断熱材の入れ替えや追加がしやすく、それによって性能を上げられるという訳です。「マンションですと最上階の天井や、駐車場やピロティになっているすぐ上の階の床、角部屋は外と接している部分が大きいので、夏に暑く、冬は寒いことが多いんです。断熱材を入れるとぐんと快適になりますよ」。
「さらに、細かいことですが排水管も含めた配管を全て入れ替えることができるのもメリットです。老朽化していてもそれだけを替えるのは不可能なので、この機会に新しくしておくと今後も安心ですよね」とのことでした。
特にマンションは、工事の音や振動について近隣への配慮が欠かせません。また、工事ができる時間帯や曜日が規約で決められているため、工期が長くなってしまうことがあるそうです。
実際のスケルトンリフォーム事例をみてみましょう。
こちらは約10年前に、中古マンションを購入してリノベーションしたおうちです。
その当時選んだのは、開放的なLDKと寝室、ウォークインクロゼットという間取りでした。
小さかったお子さまも中学生になり、自分の部屋が必要になる年ごろ。
そこで2回目のリノベーションとしてLDKを玄関側に移動し、バルコニー側に2室の個室を新設。
奥に並んだ2つの白いドアがそれぞれ寝室、子ども部屋につながっています。
リビングドアやクローゼットの室内窓は、前回造作したお気に入りを再利用。
インナーバルコニーも形を少し変えて、パパのためのトレーニングルームにしました。
フルスケルトンにしたので、間取り変更もスムーズで配管更新も全て行いました。
毎日上り下りが大変なスキップフロアを解消して、玄関を1階に新設しました。
2階に大きな吹き抜けを作り、1階にリビングをもってきても明るさを確保しました。
1階の仕切り壁を取り払ってリビングイン階段と吹き抜けで薪ストーブの暖かさを全体に行き渡らせることができます。スケルトンにしたことで、構造の根本的な見直しを行い、耐震補強工事も万全にしました。
外構は敷地の間口を活かして駐車スペースやバイク置き場スペースを提案しました。
お話を伺ったのは・・・
チーフプランナー 鈴木ゆり子
一級建築士、スタイル工房チーフプランナー。
お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。
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目次
- スケルトンリフォームってどんなもの?
- スケルトンリフォームのメリット|こだわりを追求できる
- スケルトンリフォームのデメリット|工事の音が大きめで工期も長い
- 中古を買ってスケルトン工事をするときのポイント
- スケルトンリフォーム事例① ライフスタイルに合わせて間取り変更
- スケルトンリフォーム事例② 受け継いだ実家をリノベ
- まとめ
スケルトンリフォームってどんなもの?
大規模リフォーム≒スケルトン
「枠組みや骨格、透明といった意味のskeletonという言葉の通り、建物を躯体だけにして行うスケルトンリフォーム。最近は、建物の内装や設備を全て撤去して行う、大がかりなリフォームをざっくりとそう呼ぶことが増えました」と、プランナーの鈴木。マンションも戸建ても、天井高を上げるなど、空間を生かすための工事や間取り変更を伴う工事をスケルトンリフォーム(またはスケルトンリノベーション)とすることが多いようです。
「戸建ての場合、外壁まで撤去する場合をフルスケルトンと呼んだり、リフォームは元の建物の状態や予算、住む人のこだわりによって、どこまでやるかはケースバイケースですね。住宅性能そのものを上げたり、間取りをガラッと変えるならスケルトン工事が必要になります」。
【工事中】
例えば弊社の新高円寺リノベーションギャラリーの、マンションのスケルトンリフォームの一例。
間取り・設備等を全て変更して、外周内壁も全てはがして断熱材を全面に吹き付けています。
スケルトンリフォームのメリット|こだわりを追求できる
間取りを好みに、性能を新築同様に
「最大のメリットは、やはり自分の希望やこだわりを実現しやすいことです。また、住宅性能をしっかり上げられるのもスケルトンだからこそ。築古の物件を新築並みの性能にしたいのであれば、フルスケルトンリフォームが必須になります」。断熱材は外との境界部分(壁・床・天井)に入れるため、内壁を撤去するような大規模リフォームだからこそ断熱材の入れ替えや追加がしやすく、それによって性能を上げられるという訳です。「マンションですと最上階の天井や、駐車場やピロティになっているすぐ上の階の床、角部屋は外と接している部分が大きいので、夏に暑く、冬は寒いことが多いんです。断熱材を入れるとぐんと快適になりますよ」。
「さらに、細かいことですが排水管も含めた配管を全て入れ替えることができるのもメリットです。老朽化していてもそれだけを替えるのは不可能なので、この機会に新しくしておくと今後も安心ですよね」とのことでした。
スケルトンリフォームのデメリット|工事の音が大きめで工期も長い
住みながらの工事はできないので、仮住まいへの引っ越しが必要
いいこと尽くしのように思えるスケルトンリフォームですが、「やはり大規模工事となりますので、費用もそれなりにかかります。また、大きな音が出る期間が長くなり、工期も長いのがデメリットといえます」と鈴木。特にマンションは、工事の音や振動について近隣への配慮が欠かせません。また、工事ができる時間帯や曜日が規約で決められているため、工期が長くなってしまうことがあるそうです。
中古を買ってスケルトン工事をするときのポイント
マンションは特に規約や構造をチェック
「残念ながら、スケルトンにしたら何でもできる、という訳ではありません。マンションの場合は、規約や構造の制限を受けることもあります。とくに中古マンションを買ってスケルトンリフォームをするときのポイントとして、図面はしっかりとした新築時の図面(竣工図)を確認する事ですね。プロが見ると、抜ける壁・抜けない壁は大体わかります」。スケルトンリフォーム事例① ライフスタイルに合わせて間取り変更
2度目のリノベは、子ども部屋を新設
実際のスケルトンリフォーム事例をみてみましょう。
こちらは約10年前に、中古マンションを購入してリノベーションしたおうちです。
その当時選んだのは、開放的なLDKと寝室、ウォークインクロゼットという間取りでした。
小さかったお子さまも中学生になり、自分の部屋が必要になる年ごろ。
そこで2回目のリノベーションとしてLDKを玄関側に移動し、バルコニー側に2室の個室を新設。
奥に並んだ2つの白いドアがそれぞれ寝室、子ども部屋につながっています。
リビングドアやクローゼットの室内窓は、前回造作したお気に入りを再利用。
インナーバルコニーも形を少し変えて、パパのためのトレーニングルームにしました。
フルスケルトンにしたので、間取り変更もスムーズで配管更新も全て行いました。
スケルトンリフォーム事例② 受け継いだ実家をリノベ
間取りを再構築してゆったりと暮らせる住まいに
毎日上り下りが大変なスキップフロアを解消して、玄関を1階に新設しました。
2階に大きな吹き抜けを作り、1階にリビングをもってきても明るさを確保しました。
1階の仕切り壁を取り払ってリビングイン階段と吹き抜けで薪ストーブの暖かさを全体に行き渡らせることができます。スケルトンにしたことで、構造の根本的な見直しを行い、耐震補強工事も万全にしました。
外構は敷地の間口を活かして駐車スペースやバイク置き場スペースを提案しました。