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アスベスト(石綿)事前調査って?建物の解体や改修で義務ってホント?

2024年6月2日(日)
建物の解体や改修工事の前に、アスベストを使用しているかどうかの事前調査が必要なことをご存じでしょうか?調査ってどんなことをするの?もし調査でアスベスト使用が分かった場合どうなるの?等など、素朴な疑問をリノベーションのプランナーにぶつけてきました。

お話を伺ったのは・・・


チーフプランナー 渡辺ノリエ
二級建築士、スタイル工房チーフプランナー。
マンション、ツーバイや築古の戸建てなど、難易度の高いリノベーションにも数多く携わる。
お客様やメンバーと共に心地の良い暮らしを導き出す。


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目次

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Q1. アスベスト(石綿)ってなに?どんな危険があるの?

A1. 天然の繊維状鉱物で、吸入すると肺を傷める危険があります


アスベストは、蛇紋岩(じゃもんがん)や角閃石(かくせんせき)などといった自然の鉱物が霜柱のように結晶して繊維状になったものです。よくグラスウールやロックウールと混同されますが、これらは工場でつくられた人工繊維です。

アスベストの繊維1本は直径0.02~0.35μm(髪の毛の5,000分の1)程度で、綿のように軽く柔らかい形状をしています。不燃性や高耐久性といった特徴によって5000年以上も前から「燃えない布」として世界中で利用され、住宅建材にも多く使われてきました。

しかし、アスベストの繊維が肺に入ることで肺線維症(じん肺)、中皮腫、肺がんなどの原因になることが分かり、2006年に製造や使用が全面的に禁止されました。

2023年にはさらに規制が強化され、建物の解体や改修を行う場合は施工前に建材中のアスベストの有無を事前調査し、結果を自治体に報告する義務が定められたのです。
 

Q2. アスベスト(石綿)は家のどんな場所に使われてるの?

A2. 屋根や外壁、壁紙など多くの建材に使用されています


1975年頃まではセメントと水をまぜた「吹付けアスベスト」が吸音・断熱材として使われていました。これは、飛散の危険が最も高い「レベル1」とされています。「レベル2」は鉄骨造の家の保温材などに使用されていました。

その後もアスベストを成型して板状にした石綿スレートが、その優れた防火性・耐水性から住宅の外壁や屋根に、
内装にもアスベストを含んだ石膏ボードや壁紙、床材などが使用されてきました。これらが「レベル3」で、ほとんどが2004年に製造終了していますが、全面使用禁止となった2006年までは住宅に使われている可能性があります。

アスベストを含んだ建材といっても、通常はセメントなどでアスベストが固定された状態で、著しく劣化したり解体や切断などをしない限りアスベストが飛散する危険性は低いとされています。そのため2006年以前に作られた住宅でも、お住まいになることは特に問題ではありません。
しかし、アスベストを含む建材を解体したり切断することになる工事では飛散の危険性があるため、事前調査が義務とされているのです。
 

Q3. アスベスト(石綿)事前調査ってどんなことをするの?

A3. 文書による調査と、目視による調査があります。


築年や規模にかかわらず、建物の解体や改修を行う場合はアスベストを含んでいるかどうかを調査する必要があります。これは、アスベストが使用禁止となった2006年以降の建築であっても同じです。

事前調査では、設計図書などの書面による調査と、現地での目視による調査をおこないます。これらは有資格者でないとできません。アスベストの有無にかかわらず、解体やリフォームを請け負う会社は事前調査の結果を労働基準監督署および自治体に報告する義務があります。

書面と目視による事前調査でアスベスト有の可能性、もしくは不明の場合は、分析調査をおこないます。これは、外部の専門調査業者による成分分析で、検体の数にもよりますが、調査費が6~7万円程度かかります。ただし、一度分析調査した場所については、分析データはその後の改修の際にも有効となります。

アスベストの分析調査結果の書類
 

Q4. アスベスト(石綿)有りと分かった場合、どうなるの?

A4. 工事の際に周辺への飛散を防ぐ措置をとる必要があります


分析調査でアスベストが含まれていると分かった場合は、アスベストの飛散を防ぐために適切な解体方法と処分方法をとらなくてはいけません。

具体的には、防じんシートなどで養生したり、水をまく、アスベストを薬剤で固定するなどのほか、作業員にも特別な教育・装備が必要になります。
解体の作業を行う際には、防護服(保護衣)とマスクの着用が義務付けられている

これらを合わせて「アスベスト有り」の場合の解体工事はだいたい30~100万円ほどの費用がプラスされ(解体範囲やレベルによっての違いも)、分析調査費と合わせて発注主の負担になります。
工期については「レベル3」であれば、範囲にもよりますがさほど大きな影響はでないでしょう。
 

Q5. 自宅の工事の時に、発注主が気をつけるべきことは?

A5. 情報の提供など、お客様にもご協力いただくことがあります。


調査・報告は施工業者の義務ですが、発注者(お客様)にも設計図書や改修の履歴などの情報を提供していただく努力義務があります。また、分析調査費用やアスベスト除去工事費などは、お客様にご負担いただくことになります。

しかし、住む人や近隣の方々、工事をおこなう作業員も含めた健康を守るため、法律で定められた義務です。どの施工業者に依頼したとしても、この部分を安くおさえることはできません。

スタイル工房にもアスベスト事前調査の有資格者、アスベスト除去工事の現場を安全に管理できる有資格者が在籍しており、お客様にもしっかり報告とご説明をおこないます。そのうえで、アスベストの有無を考慮したリノベーションプランをご提案することもできますので、ご安心ください。

参照:
石綿総合情報ポータルサイト 厚生労働省

アスベスト対策Q&A 国土交通省
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