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【プランナー監修】狭小住宅も間取りの工夫で㎡数以上の住みやすさに!

2024年7月16日(火)
都心を中心に増えている、延床面積20坪程度の一戸建て。もっと広いところに引っ越す?でもこのエリアで住みたい!そんなご家族のために、リフォームやリノベーションでできることがあります。今回はスタイル工房の鈴木プランナーに、狭さを克服する間取りの工夫やアイデアを聞いてきました。


鈴木ゆり子
一級建築士、スタイル工房チーフプランナー

お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。


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目次

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狭小だからこそ、妥協できるorできないにメリハリを

「スペース不足でも、削るべきではない場所があります」

延床面積20坪というと66㎡程度。ふたりで暮らすには十分ですが、子どもが2人以上いるご家族には、マンションでも少し狭いかも知れません。ましてや階段などのスペースが必要な一戸建てでは、かなり厳しいのでは?

「広さや予算の関係で妥協せざるを得ないポイントと、妥協するべきではないポイントがあるのは、どんなリフォームでも同じです。狭小の場合は、そのメリハリがよりはっきりしているかもしれませんね。

たとえば、お風呂やトイレなどの水まわり。日本の住宅事情に合わせて、もともとかなりコンパクトな商品が主流なので、そこからスペースを削るのは難しいと考えた方がいいでしょう。ただし、ホテルのサニタリールームのようにトイレと洗面スペースをまとめることはあります。

あとは、玄関は広めにとること。モノが多い場所でもあるので、小さくしてしまうと結局あふれ出して、暮らしにくくなります。十分な収納と、何かを飾るスペースは暮らしの楽しみ。狭小でも必ず設けるようにしています。

その分、廊下は極力なくす!廊下があっても天井を少し下げて収納にしたり、『廊下兼、セカンドリビング兼、階段ホール』のように、複数の役割をもたせたり。縦横の空間、時間軸ごとの空間を余すところなく活用しています。」

実際のリフォーム例で見てみましょう!

 

狭小間取り事例①|吹き抜けの開放感で伸びやかな住まいに

【約48㎡|2人家族|木造在来工法】

相続されたご実家をリフォームし、住むことにしたご夫婦。
住宅地にあるためプライバシーと日当たりの確保、洗濯物を室内干しできるスペースなどがご希望でした。

 
そこで、LDKを2階に移動。
間取図では分かりづらいですが、階段の途中につくったユーティリティでお洗濯ができるようにしました。


リビングは小屋裏の半分をなくして吹き抜けに。
それによって小屋裏にあった高窓からも光が届き、明るく開放的な空間となりました。


2階の個室には大きめの室内窓をつくり、視線を通すことで広く見せてくれます。

こちらが中2階に作ったユーティリティ。
 
干している洗濯物が見えないように、半透明ガラスの引き戸で仕切ることもできます。

脱衣所とトイレは海外のホテルのようにまとめて、素材選びで高級感を損なわないように配慮。
 
バスルームはシンプルですが、ゆったりとした浴槽も備えた十分な広さです。

 

狭小間取り事例②|周囲にビル&間口が狭くても明るいわが家

【約67㎡|3人家族|鉄筋コンクリート(RC)造】

ご親族が所有されているビルの1階と2階の一部を使ってメゾネットにリフォームした例です。
 

間取図で分かる通り、間口3mほどの奥行きのあるつくり。
しかも周りを高層マンションに囲まれており、日当たりが悪いのが課題でした。


そこで、主な開口部である南側の窓からは、建具を設けないオープンなつくりに。


暗くなりがちな真ん中のお部屋は、壁の色をイエローにして明るく温かみのあるイメージに。
リビング階段の踏み板も半透明のグレーチング素材にして、2階からの光が届くようにしました。


脱衣所に充分なスペースがないため洗濯機はキッチンのすぐ側、階段下スペースを利用して設置。
お料理と洗濯の場所が近いのは、かなり合理的な家事動線でもあります。


玄関と廊下は、上部にオープン棚を設けて空間を有効活用。
三和土(たたき)は広々、子ども用の自転車も置けます。
キッチンにつながるドアはガラス入りのもので、光をシェアしているのもポイントです。

 

狭小間取り事例③|約64㎡に3世代6人が暮らす!

【約64㎡|6人家族|木造在来工法】

 
最後にご紹介するのは3世代同居。
気になっていた耐震性や断熱性、経年劣化を改善すること、ご両親の寝室と子ども部屋を確保したいとのご要望。


 まず1階には、全員で食卓を囲めるダイニングキッチンと、その隣にご両親の寝室を確保。
収納棚も全て造作し、家具を置かなくてすむようにしました。


1階の天井(=2階の床)は、一部を先ほどのおうちの階段にも採用されていたグレーチング素材に。
半透明の素材が2階からの光を1階ダイニングまで届けます。
2階のセカンドリビングには、子どもたちがのびのび遊べるうんていとクライミングウォールを設置。


階段下も一切のムダなく収納に。


玄関には、壁一面にシューズラックを造作。
これだけあれば、6人分の靴をゆったりしまえそう。
廊下の上部も収納になっており、普段は使わない大型の荷物などを置くことができます。

 

狭小住宅リフォーム、気を付けるべきポイントは?

「住宅密集地は特に、近隣への配慮が欠かせません」

工夫満載の事例を見てきましたが、狭小で特に気を付けるべきポイントなどはあるのでしょうか。

「都心に多いのですが、注意したいのが、土地そのものが狭く建ぺい率ぎりぎりに立てられている場合ですね。近隣との窓の位置がかち合わないように綿密に考える必要があります。

窓だけでなく、音が出る水まわりの位置なども、お隣の方に失礼ならない配置にしなければいけません。

工事の際などにも近隣の方々への影響が大きく、一時的に越境してしまうこともあるため、特別に配慮しています。もちろんお客様にも、お隣の方との関係性をお聞きしていますよ」

住宅密集地では隣家が迫るような立地が多いため、お互いに暮らしやすくするための気遣いが不可欠なようです。

また、狭小住宅の場合は家具搬入経路の確保も忘れないように、と鈴木プランナー。
「大きい家電や家具の購入予定があるなら、できればプランニング前にお伝えください」

玄関から入らず、2階の窓からクレーンで搬入した例もあるのだそう。搬入だけで余計な費用がかかってしまうため、注意しましょう。

 

まとめ

最近は、狭小住宅であることをむしろ楽しんでリフォームする風潮になっているのだとか。すみずみまでスペースを有効利用しようと工夫された家は確かにとても住みやすく、より愛着も深まりそうです。「この㎡数で住めるかな?」「引っ越さないとムリかな?」と迷っている方は、ぜひご相談ください。
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