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【戸建リノベ】基礎工事

2015年5月15日(金)
今回のブログは、先日行った工事も参照しながら一般的な基礎の補強工事について書いてみました。

スタイル工房は戸建リノベーションの事例がとても多い会社ですが、戸建の基礎部分から補強を行う大掛かりな工事も増えてきています。

上部間取りの変更、部屋の使用方法の変更等で柱の位置や梁への荷重が変更になる場合、それに伴って、上部構造を支える基礎についても負担する荷重、強度に応じた補強や、建物全体の耐震性能を上げる場合にも基礎に補強を行う場合があります。
また主要構造部について大規模な修繕を行う場合、規模や構造によっては確認申請等の手続きが必要になりますので注意が必要です。

通常、基礎の補強工事は、基礎を作るための準備工事として「土工事」「地業工事」から始まります。
リノベーションでは既存の基礎に新しい基礎を抱かせる形で補強する場合が多くなります。

まずは既存の基礎の部分や新たに基礎を作る部分の土を取り除く土工事を行います。現場や箇所により形状・深さは様々ですが、今回は深いところで500ミリ程度掘り下げています。その後、砕石を敷いて基礎の乗る底面を作る工事:地業工事を行います。

リノベーション工事では上部に構造物があるため、土を掘り下げたり、それを運び出したりするのも重機を使えることは非常に少なく、殆どが人力作業になります。しかも作りたい基礎の大きさの割に結構な土量を運び出します。狭い場所での作業であり、見た目よりも手間暇掛かる作業です。

 
<新たに基礎をつくる場所の土を取り除いているところ>

地業工事まで終えたら、次は隣接する既存の基礎と連結するための削孔鉄筋や目荒らしを行い、基礎の配筋を行います。

目荒らしとは、隣接する既存の基礎の表面を荒く加工して新たなコンクリートとの既存コンクリートが一体化するようコンクリートの食い付きをよくするための処置です。
削孔鉄筋とは、既存基礎と補強部分の新たな基礎を一体化するため、既存の基礎に孔を開けて鉄筋を差し込み、構造的に基礎を繋げる配筋のことを言います。
配筋とはその名の通り鉄筋を配置することで、既存の基礎への埋め込み寸法、鉄筋の径やピッチは細かく定められていることは言うまでもありません。


<既存の基礎が目荒らしされ配筋されている様子>

配筋が終われば、型枠を組む段階になりますが、その前に給排水管等を通すための孔(スリープ)を作る下準備をします。入れ忘れると後でえらい目に逢います・・・汗


<配管スリーブ用の紙管(ボイド)を取り付けます>

このスリーブの径が大きくなり、基礎の断面欠損が大きくなる場合は、この孔の周りに補強のための鉄筋を配筋する必要があります。

細かな処置が完了したら型枠工事です。
この型枠には、コンクリート表面の仕上がりを考慮して、基礎等に用いる通常の合板型枠、コンクリート打ち放し仕上げ用型枠、コンクリート表面に表情を出すための杉板型枠など様々な種類があります。
今回は基礎なので見えない部分も多いのですが、玄関側が高基礎になっていて見える箇所も多いので、片面がコーティングされていてコンクリート表面が滑らかに仕上がる打ち放し用を使っています。
余談ですが、マンション等の鉄筋コンクリートでは、通常の大工さんとは異なる型枠大工という工種があり、型枠を組んでいきます。

 
<右の写真が型枠の内部。セパレーターで既存の基礎に連結しています>

そして最終工程:ここにコンクリートを流し込む「打設」を行います。

打設作業も上部に構造物があるリフォームでは、なかなか労力のかかる仕事で、ミキサー車を現場の前につけて、人力作業でコンクリートを運びます。量や打設する場所によっては結構な重労働ですし、スピードが要求されるのもこの作業です。

 
<右はコンクリート納入書。納品されたコンクリートの性能等を表示する資料です。>

コンクリートは用途や気温などによってJIS規格で定められた強度があるため納品時に監督が十分な強度のコンクリートが納入されているかを確認します。


コンクリートを流し込んだあとは、バイブレーターを使って空気を抜き、隙間なく充填させます。

コンクリートに空気が残りすぎると、硬化後、「ジャンカ」と呼ばれる空洞が発生し、基礎の強度が落ちてしまうため、バイブレーターを掛けてコンクリートが隙間なく行き渡るようにするとともに、気泡を抜いていきます。
とはいえ、バイブレーターを掛け過ぎると水、セメント、骨材が分離してしまうため、万遍なく、生コンの練硬さに応じた掛け方が重要です。

打ち終われば表面をコテを使って平らに整えていきます。これも家の土台や柱をしっかりと建てるために大切な作業です。
また、夏場等の気温の高い時期はコンクリートが硬化して強度が出る前に水分が蒸発してしまう場合があるため、散水して湿潤させ、シート等で封緘を行い、コンクリートの強度の発現を待ちます。


<完成した基礎の上に土台や柱を建て上げた様子>

このように基礎工事は工程も多く、コンクリートが固まる前にスピーディに行う必要があります。
当たり前ですが一度固まってしまうと直すことはできません。失敗は許されません!
リノベーションの場合には今回取り上げたような基礎をすべて補強する現場はそれほど多くはありませんが、このような工事をすると築40年を超える建物も新築と変わらない性能や強度になっていきます。逆に基礎を疎かにすると建物全体の寿命も危うくさせかねません。

やはり人も建物も「地に足を着けること:足元を固めること」はとても大事ですね。
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