腰かけたり、寝転んだり。マンションの空間を有効に使う「畳の小上がり」
フローリングが主流とはいえ、お昼寝や子どもの遊び場に便利な和室は根強いニーズがあります。とはいえ、スペースの限られているマンションでは、ひと部屋を和室にしてしまうのは少しもったいない……?そんなときは、小上がりの畳コーナーはいかがでしょうか?空間をフレキシブルに有効活用できて、畳下にモノが収納できるのも嬉しい!小上がりのステキな事例を集めてみました。
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目次
- 昼間は大空間リビング、夜は5人家族の寝室に
- にじり口を和モダンインテリアのアクセントに
- ダイニングベンチやソファを置かない暮らしが叶う
- リビングの一角に、ミニ茶室兼客間として
- 普段はヨガなどを楽しむゲストルームに
- まとめ
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昼間は大空間リビング、夜は5人家族の寝室に
子ども部屋を確保するために、和室をマルチに使う
築20年、72㎡のマンションで、成長した子どもたちの部屋をつくるために、間取りを再構築した例。
リビング横の和室を拡げて小上がりにして、家族5人のゆったりとした寝室に。
昼間はこのように、LDKとひとつながりの空間としてくつろぐことができます。
夜は障子戸とローススクリーンで目隠しして、安眠できる環境を確保。
こちらの障子戸は、ある老舗旅館のデザインをヒントにして造作したものだそう。
開けているときは、障子戸は壁側に、ロールスクリーンは天井に納まってスッキリ。
ちょっと腰掛けるにもいい高さで、リビングのソファの代わりにもなりますね。
収納の隣にはカウンターデスクを造作し、スタディーコナーに。
デスク下は掘りごたつのように足を入れられるため、椅子と同じ感覚で座ることができます。
この写真の事例詳細はこちら:No.864 馴染みの家具との調和~小上りからの緑の眺め
にじり口を和モダンインテリアのアクセントに
となりの隠れ家的書斎スペースとの行き来もできる
築19年の中古マンションを購入して、リノベーションした例です。
6帖分あった和室スペースをWICと書斎に取り込み、3帖の小上がり和室にしました。
和室の機能は残しつつ、リビングは空間がつながることで、より開放的に。
角を丸くしたにじり口は妻の書斎とつながっており、書斎側の採光の役割も果たしています。
お客様が泊まるときは、ロールスクリーンを下ろせば客間にも。
漆喰左官仕上げの壁が、照明の下では優しい陰影をもたらしてくれます。
畳下は引き出し式収納になっており、布団やトランクなど、大型のものをしまうことができます。
この写真の事例詳細はこちら:No.810 住まいを整え 心も整う
ダイニングベンチやソファを置かない暮らしが叶う
後ろに転ぶ心配がないため、子どもが小さいおうちにも
小上がりスペースを窓側につくった例もあります。
ダイニングテーブルを横に置いて、ダイニングチェアやベンチの代わりに小上がりに腰かけます。
子どもが赤ちゃんのうちは食事の時もそばに寝かせることができ、成長したら並んで座ることも。
ベンチだと後ろが心配なところ、小上がりは安定感がありますね。
向い側のキッチンカウンターには絵本棚をつくり、子どもの目線で自由に絵本選び。
ここで本を選んで、小上がりでごろんと横になりながら読むのもいいですね。
ソファなどを置かなくてすむため、お部屋がスッキリ見えます。
この写真の事例詳細はこちら:No.627 子どもと一緒に夢見る家
リビングの一角に、ミニ茶室兼客間として
木格子や半帖畳で、自慢の茶道具が馴染む空間に
子どもたちが独立し、ご夫婦がより快適に、豊かに暮らしていくためのリノベーションです。
リビング横の和室はスペースを半分にして、小上がりの茶室風に。
お茶を嗜まれているという奥様のための場所で、木格子でほどよく独立感もあり、お点前にぴったりです。
お気に入りの茶道具たちも、空間に美しく調和していますね。
着物に着替えるときや、お客様が泊まる時はロールスクリーンで目隠しも可能。
畳下は扉をはめ込むタイプの収納で、引き出し式よりさらに省スペースになります。
大型のトランクがすっぽり収まって使いやすい、とお喜びでした。
この写真の事例詳細はこちら:No.828 お茶香る 和モダン空間
普段はヨガなどを楽しむゲストルームに
ベッドを置くよりも空間をフレキシブルに使える
ここまではリビングの一角でしたが、
最後は玄関横のゲストルームに小上がり畳をつくった例です。
ベッドを置いてしまうと客間としてしか使えない部屋も、小上がりならフリースペースとして機能します。
こちらのお客様は、普段はここでヨガなどを楽しんでいるとか。
来客時は畳下からお布団を出して、入り口の引き戸をしめればお客様もゆっくりくつろぐことができます。
この写真の事例詳細はこちら:No.861 「くらしの基地」づくり
まとめ
独立した和室の場合、4.5帖でも狭く感じて使い方を迷ってしまいがちですが、小上がりは3帖分でもしっかりと機能してくれます。家具とお部屋の間のような存在、といったイメージでしょうか。そのため、ベッドやベンチやソファ、客間、寝室としてなど、フレキシブルな使い方ができるのも、小上がり和室のメリットのひとつです。
デメリットは、家具とは違って一度つくってしまうと撤去は難しいこと。そのため、将来、子どもの成長や独立に合わせた間取り変更を考えている方は、小上がりをどうするかもあらかじめ考えておきましょう。
畳下収納は、使いやすい引き出し式が人気ですが、引き出すスペースが不要な扉はめ込み式や、ひんぱんに出さないものであれば畳を取り外して収納する方式もあります。何をしまいたいかに合わせて決めるとよいでしょう。