Vol.2 プランナーに聞く「リノベで叶えたかったコト」
2018年6月1日(金)
リノベーションのリアルな現場をお伝えする「リノベ密着レポ」。
第7弾はなんと独身寮1棟まるごと!
個人のお家の施工実績は豊富なスタイル工房ですが、いったいなぜこのような依頼が?
打合せからプランニングや工事…個人宅をつくり上げるのとはどう違ったのでしょうか?
今回は立場をぐるっと変えて、スタイル工房から。初めての独身寮リノベ、プランニングで叶えたかったことや、狙いなどをご紹介いたします。
前回の記事はこちら↓
<Vol.1 企業内担当者に聞く「スタイル工房に決めた理由」>
スタイル工房では個人住宅のお仕事が専門で、個人オーナーの賃貸住宅などは手掛けていましたが「企業の寮1棟丸ごとリノベ」は初めてのことでしたので、お話をいただいた時には、お仕事を受けるかどうか、社内で様々な話し合いがありました。
最終的に「個人住宅ではなく、会社の寮であってもくらしを提案することに変わりはない」というスタンスから、プランニングを手がけることに決まったのです。
最初のプレゼンテーションは、プランナーから設計、施工管理…と総出でのぞみました。
「パワポは使われますか?」という寺岡精工・難波さんにも「いえ、配布資料だけで!あとはご説明いたします」といつものペースを崩さないプランナーの渡辺。
コンペ形式で、他の会社のプランも合わせてご検討いただくことに。
でも、住宅と同じように課題を解決し、住む人が快適に楽しく暮らせる提案を盛り込んだスタイル工房の案を、結果的に選んでいただきました。
前回でも触れた「楽しい暮らしができるお家が私たちの願い。それは個人住宅も寮も変わらない」の精神です。
では、具体的にはどんな提案だったのでしょうか?
解決策として出されたのは、各部屋に土間を作るというプラン。
多目的に使えるフリースペースとしての土間を挟むことで、廊下と室内が隔てられ、ぐっと防音効果があがります。
また、これまでの部屋は「こういう風に暮らしなさい、と決められているような配置が気になった」というプランナー。
小さくても自由にアレンジできるスペースがあることで、趣味や自分の時間の充実につながるのでは、という狙いもありました。
通りに面した1階の部屋には、ルーバー状の目隠しフェンスを外構に設置することで外の音や視線から守ることに決まりました。
それらをムリヤリ詰め込んだせいか、キッチンが居室と同じ空間だったり、洗濯機がトイレの個室に置かれていた(!)という以前の間取り。
部屋のなかを通る配管、出っ張った梁による圧迫感も居心地の悪さの原因になっています。
これらもすべて解決し、キッチンは部屋の外に出し、生活のための水回りをまとめました。
before
↓
After
居室は純粋にくつろいだり、好きなインテリアでアレンジできる空間としています。
暮らしを楽しむことで、寮が「仕事から帰って、ただ眠るだけ」の部屋ではなくなり、新入社員である入寮者に想像力や自主性が育まれる住まいにしたい。
そんな願いが込められていたのです。
まず、1階の床と3階の天井にはしっかりと断熱材を入れ、熱ロスの多いアルミサッシ部は断熱性能の高い樹脂製のインナーサッシで2重窓にしています。これは外部からの防音にも役立ちました。
開けてみて初めて分かったのですが、以前の工事で配管の周りの穴が埋められていない部分も。
「こんなに開口部分があったら、音が筒抜けのはず…」
納得しながらもしっかりふさぎ、気密性を確保、格段に暮らしやすくなりました。
部屋の真ん中を通る配管。どう圧迫感なく間取るかも腕の見せ所
配管以外にもトイレのドルゴ(臭気抜き)の老朽化・入れ替えなど、開けてみないと分からなかった修繕箇所がいくつも見つかりました。
住宅であればひとつで済みますが、寮の場合は一度に18戸分となり、全体の予算にも影響してきます。
会社で決まった予算は動かすことができないのも、住宅とは違うところ。
そのため、工事中の現場でも打合せを行いながら、何度もプランに調整を加えていきました。
寺岡精工の難波さんもほぼ現場に日参されていました。
プラン図を確認しながら現場で行われる打合せの様子
女性専用となる3階フロアの居室は、床はすべて無垢に。
寮で無垢材の床なんて、うらやましすぎます!
採用したのは、傷つきにくく木目の美しいナラ材
また、廊下のアクセントクロスや、洗面のモザイクタイルも愛着を育ててくれます。
アクセントカラーはフロアーごとに色を替えました。
各フロアでアクセントカラーの色が違う廊下
機能はもちろん、今後採用などにも積極的にアピールしていきたいという意向もあった今回の独身寮。
新入社員の新生活をスタートする場所として、魅力的なデザインとなっています。
ところで、完成は新年度に合わせて3月。
最初のプレゼンテーションが11月で12月にお見積り、工事は年末ぎりぎりから始めましたが、寮の入居者のお引越しなどもあり本格的に工事がスタートしたのは1月でした。
振り返ると、3ヶ月程度で3フロア18戸のリノベーションを完了させたことになります。
開けてみて初めて判明したことも多く…と今回のお話にもありましたが、実際の工事はどのように進んだのでしょうか?
次回は、工事部の現場からもう少し細かくお伝えします。
第7弾はなんと独身寮1棟まるごと!
個人のお家の施工実績は豊富なスタイル工房ですが、いったいなぜこのような依頼が?
打合せからプランニングや工事…個人宅をつくり上げるのとはどう違ったのでしょうか?
今回は立場をぐるっと変えて、スタイル工房から。初めての独身寮リノベ、プランニングで叶えたかったことや、狙いなどをご紹介いたします。
前回の記事はこちら↓
<Vol.1 企業内担当者に聞く「スタイル工房に決めた理由」>
いざプランニング!
スタイル工房にとっても珍しい案件である「独身寮1棟リノベーション」。スタイル工房では個人住宅のお仕事が専門で、個人オーナーの賃貸住宅などは手掛けていましたが「企業の寮1棟丸ごとリノベ」は初めてのことでしたので、お話をいただいた時には、お仕事を受けるかどうか、社内で様々な話し合いがありました。
最終的に「個人住宅ではなく、会社の寮であってもくらしを提案することに変わりはない」というスタンスから、プランニングを手がけることに決まったのです。
最初のプレゼンテーションは、プランナーから設計、施工管理…と総出でのぞみました。
「パワポは使われますか?」という寺岡精工・難波さんにも「いえ、配布資料だけで!あとはご説明いたします」といつものペースを崩さないプランナーの渡辺。
コンペ形式で、他の会社のプランも合わせてご検討いただくことに。
でも、住宅と同じように課題を解決し、住む人が快適に楽しく暮らせる提案を盛り込んだスタイル工房の案を、結果的に選んでいただきました。
前回でも触れた「楽しい暮らしができるお家が私たちの願い。それは個人住宅も寮も変わらない」の精神です。
では、具体的にはどんな提案だったのでしょうか?
まず解決すべきは、防音問題
現地調査の時にも気になったという部屋の話し声。 プライベートな会話が廊下にまで筒抜けなのでは、とても落ち着いて暮らせたものではありません。解決策として出されたのは、各部屋に土間を作るというプラン。
多目的に使えるフリースペースとしての土間を挟むことで、廊下と室内が隔てられ、ぐっと防音効果があがります。
また、これまでの部屋は「こういう風に暮らしなさい、と決められているような配置が気になった」というプランナー。
小さくても自由にアレンジできるスペースがあることで、趣味や自分の時間の充実につながるのでは、という狙いもありました。
通りに面した1階の部屋には、ルーバー状の目隠しフェンスを外構に設置することで外の音や視線から守ることに決まりました。
自主性をはぐくむ住まいに
寮ということで、各部屋にキッチンやお風呂、トイレもつくらなければなりません。それらをムリヤリ詰め込んだせいか、キッチンが居室と同じ空間だったり、洗濯機がトイレの個室に置かれていた(!)という以前の間取り。
部屋のなかを通る配管、出っ張った梁による圧迫感も居心地の悪さの原因になっています。
これらもすべて解決し、キッチンは部屋の外に出し、生活のための水回りをまとめました。
before
↓
After
居室は純粋にくつろいだり、好きなインテリアでアレンジできる空間としています。
暮らしを楽しむことで、寮が「仕事から帰って、ただ眠るだけ」の部屋ではなくなり、新入社員である入寮者に想像力や自主性が育まれる住まいにしたい。
そんな願いが込められていたのです。
寒さ・防音対策と「×18」の苦悩
2つ目の課題であった冬の寒さに対しては、要所に入れた断熱材で解決を図りました。まず、1階の床と3階の天井にはしっかりと断熱材を入れ、熱ロスの多いアルミサッシ部は断熱性能の高い樹脂製のインナーサッシで2重窓にしています。これは外部からの防音にも役立ちました。
開けてみて初めて分かったのですが、以前の工事で配管の周りの穴が埋められていない部分も。
「こんなに開口部分があったら、音が筒抜けのはず…」
納得しながらもしっかりふさぎ、気密性を確保、格段に暮らしやすくなりました。
部屋の真ん中を通る配管。どう圧迫感なく間取るかも腕の見せ所
配管以外にもトイレのドルゴ(臭気抜き)の老朽化・入れ替えなど、開けてみないと分からなかった修繕箇所がいくつも見つかりました。
住宅であればひとつで済みますが、寮の場合は一度に18戸分となり、全体の予算にも影響してきます。
会社で決まった予算は動かすことができないのも、住宅とは違うところ。
そのため、工事中の現場でも打合せを行いながら、何度もプランに調整を加えていきました。
寺岡精工の難波さんもほぼ現場に日参されていました。
プラン図を確認しながら現場で行われる打合せの様子
会社のアピールポイントとなるデザインも随所に
自然素材を使ったデザインを得意とするスタイル工房、その「らしさ」は、寮でもいかされています。女性専用となる3階フロアの居室は、床はすべて無垢に。
寮で無垢材の床なんて、うらやましすぎます!
採用したのは、傷つきにくく木目の美しいナラ材
また、廊下のアクセントクロスや、洗面のモザイクタイルも愛着を育ててくれます。
アクセントカラーはフロアーごとに色を替えました。
各フロアでアクセントカラーの色が違う廊下
機能はもちろん、今後採用などにも積極的にアピールしていきたいという意向もあった今回の独身寮。
新入社員の新生活をスタートする場所として、魅力的なデザインとなっています。
ところで、完成は新年度に合わせて3月。
最初のプレゼンテーションが11月で12月にお見積り、工事は年末ぎりぎりから始めましたが、寮の入居者のお引越しなどもあり本格的に工事がスタートしたのは1月でした。
振り返ると、3ヶ月程度で3フロア18戸のリノベーションを完了させたことになります。
開けてみて初めて判明したことも多く…と今回のお話にもありましたが、実際の工事はどのように進んだのでしょうか?
次回は、工事部の現場からもう少し細かくお伝えします。