【プランナー監修】リフォームで土間をつくる!スペースの活用術や施工例をご紹介
2024年12月24日(火)
住まいに関するお悩みで多いのが「玄関の収納不足」。靴だけでなく、ベビーカーや雨具、アウトドアの道具など、室内には持ち込みたくないけど外に置いておくのも心配なものがたくさん!土間があったらいいのに・・・ということで、最近はマンションでも増えている土間について、スタイル工房のプランナーに聞いてきました。
チーフプランナー 黒沢
二級建築士、インテリアコーディネーター
時間の経過と共に変わっていく暮らしの変化も想定したプランと、建物のポテンシャルを生かした美しいラインのおさまりに定評がある。
「土間とは、屋内にありながら土足で過ごすことができる空間です。シューズインクローゼットは床の素材にかかわらず、いわゆる下駄箱よりも広めの玄関収納を指す言葉ですね。あえて土間にせず、廊下や居室から靴をはかずに行ける動線をとる場合もあります。
土間は、収納に限らず靴をはいているスペースなので、自転車のメンテナンスをしたり、DIYのためのスペースとして使うこともできます。事務所兼自宅で、打合せスペースを土間にしている方もいらっしゃいますね」。(黒沢プランナー 以下同)
確かに、外からいらっしゃった方とお仕事のお話をするなら土間の方が便利ですね。土間のつくり方で気をつけるべき点にはどんなものがあるでしょうか。
「まずは通風と採光です。窓がない場所であれば小さい換気扇や照明を設置します。マンションで共用廊下側の窓側スペースを土間にする場合は、奥の部屋と室内窓でつなげて、そこまで風と光が届くように。
土間を広げる場合、多くは居室スペースをつかうことになります。土間ではベビーカーやスーツケースなど重いものを運んだり置いたりもするため、リビングなどより音や振動が起こりやすいですよね。マンションの場合、階下は居室のため、防音や衝撃吸収機能のある床下地を入れるなどの配慮が必要になります」
マンション共用廊下側の部屋は寝室や書斎として使っている方も多い場所。住み始めてからも、深夜の帰宅時などは気をつけるようにしたいものです。
「そうですね、土足で入るので丈夫で汚れにくい素材がいいですね。キッチンや洗面の床によく使われるフロアタイルではなく、本物のタイルをおすすめしています。床まわりは壁の方まで汚れやすいため、巾木のような感じでタイルを壁に立ち上げて補強することもあります」
キッチンの壁などで見かける目地なしの貼り方は土間の床では難しく、しっかりと下地をつくって、その上にタイルを貼る必要があるとのことでした。壁はやっぱり珪藻土がイチオシですか?
「吸湿・消臭のはたらきのある珪藻土は確かに玄関収納向きですし、少しくらい汚れても気になりにくいという利点もあります。クロスの場合は、汚れに強い製品を選びます。あとは、ラーチ合板やOSBボードは汚れが目立ちにくく、自転車を掛けたりDIYで棚を取り付けるときにも扱いやすいのでよく使いますね」
土間部分は土足で入ることもあり、ラフに扱える素材や汚れが目立ちにくい、もしくは汚れても気にならない素材がオススメだそう。それでは実際に、土間をつくったリフォーム事例を見てみましょう!
玄関を入って、もともとは廊下に沿って手前まで壁がありました。
左側に土間を延長して、居室とは室内窓でつなげています。
上着などが掛けられるハンガーパイプも天井に設置。
奥のブルーのクロスもアクセントになっていておしゃれですね。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_k100.html
こちらは同じマンションでも、角部屋で玄関横に窓がない間取りです。
一般的な下足収納のみだった玄関を拡げて、洗面室スペースの一部をつかって土間収納にしました。
土間収納には靴の一部のほか、趣味のものや防災用品などをしまっています。
シューズインクローゼットは反対側にあり、土間ではなくウォークインクローゼットとつなげました。
まずWICで身支度をしてからSICで靴を選びそのまま玄関へ、という動線ですね。
WICからは廊下側にもリビング側にも抜けることができる2WAY動線となっています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_h61.html
玄関入って右側壁に板を貼り、靴をたっぷりしまえるオープンラックを設置。
これだけでも収納力がアップしていますが、手前側の壁を抜き、和室ひとつ分を土間にしました。
玄関からは、モルタルで仕上げた床がつながっています。
そのスペースがこちら。
6畳分あるので趣味のキャンプ用品をまとめて収納し、点検やお手入れなどもできます。
掃き出し窓からは、外の車へと出し入れもラクラク。
とても日当たりがいいので、ここでお茶を楽しむこともあるのだそう。
「でも、居室スペースが狭くなるのはちょっとな・・・」という方には、シューズボックスの奥行分40cmほどを廊下側に伸ばしたり、玄関横のサービスルームのデッドスペースを使うなどの工夫もできますよ、と黒沢プランナー。
オープン棚+プチ土間スペースで、キャンプ用品を取り出しやすく収納したI様邸
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_i63.html
今回ご紹介したマンション事例のように、上がり框を斜めにすることで視覚的な広がりを感じさせることも可能です。「土間の使い方や外出時の動線は住む人によってさまざまなので、一緒にシミュレーションしながらご提案します!」とのことでした。
チーフプランナー 黒沢
二級建築士、インテリアコーディネーター
時間の経過と共に変わっていく暮らしの変化も想定したプランと、建物のポテンシャルを生かした美しいラインのおさまりに定評がある。
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目次
- リフォームで土間をつくるときの注意点やポイントは?
- 床や壁など、土間リフォームにおすすめの素材は?
- 土間リフォーム事例①|共用廊下側スペースに
- 土間リフォーム事例②|土間とSICを両方新設
- 土間リフォーム事例③|玄関横のひと部屋を土間に
- まとめ
リフォームで土間をつくるときの注意点やポイントは?
「マンションは特に、通風、採光、防音に気を配ります」
まずは土間の定義ですが、シューズインクローゼット(SIC)との明確な違いはあるのでしょうか?「土間とは、屋内にありながら土足で過ごすことができる空間です。シューズインクローゼットは床の素材にかかわらず、いわゆる下駄箱よりも広めの玄関収納を指す言葉ですね。あえて土間にせず、廊下や居室から靴をはかずに行ける動線をとる場合もあります。
土間は、収納に限らず靴をはいているスペースなので、自転車のメンテナンスをしたり、DIYのためのスペースとして使うこともできます。事務所兼自宅で、打合せスペースを土間にしている方もいらっしゃいますね」。(黒沢プランナー 以下同)
確かに、外からいらっしゃった方とお仕事のお話をするなら土間の方が便利ですね。土間のつくり方で気をつけるべき点にはどんなものがあるでしょうか。
「まずは通風と採光です。窓がない場所であれば小さい換気扇や照明を設置します。マンションで共用廊下側の窓側スペースを土間にする場合は、奥の部屋と室内窓でつなげて、そこまで風と光が届くように。
土間を広げる場合、多くは居室スペースをつかうことになります。土間ではベビーカーやスーツケースなど重いものを運んだり置いたりもするため、リビングなどより音や振動が起こりやすいですよね。マンションの場合、階下は居室のため、防音や衝撃吸収機能のある床下地を入れるなどの配慮が必要になります」
マンション共用廊下側の部屋は寝室や書斎として使っている方も多い場所。住み始めてからも、深夜の帰宅時などは気をつけるようにしたいものです。
床や壁など、土間リフォームにおすすめの素材は?
「汚れに強い素材や、丈夫な素材をおすすめしています」
床下地の話が出ましたが、床の表面はやはりタイルでしょうか。「そうですね、土足で入るので丈夫で汚れにくい素材がいいですね。キッチンや洗面の床によく使われるフロアタイルではなく、本物のタイルをおすすめしています。床まわりは壁の方まで汚れやすいため、巾木のような感じでタイルを壁に立ち上げて補強することもあります」
キッチンの壁などで見かける目地なしの貼り方は土間の床では難しく、しっかりと下地をつくって、その上にタイルを貼る必要があるとのことでした。壁はやっぱり珪藻土がイチオシですか?
「吸湿・消臭のはたらきのある珪藻土は確かに玄関収納向きですし、少しくらい汚れても気になりにくいという利点もあります。クロスの場合は、汚れに強い製品を選びます。あとは、ラーチ合板やOSBボードは汚れが目立ちにくく、自転車を掛けたりDIYで棚を取り付けるときにも扱いやすいのでよく使いますね」
土間部分は土足で入ることもあり、ラフに扱える素材や汚れが目立ちにくい、もしくは汚れても気にならない素材がオススメだそう。それでは実際に、土間をつくったリフォーム事例を見てみましょう!
土間リフォーム事例①|共用廊下側スペースに
【マンション|築38年|リフォーム面積 約79㎡】
最初にご紹介するのは、マンションでは王道ともいえる共用廊下側の居室スペースをつかった例。玄関を入って、もともとは廊下に沿って手前まで壁がありました。
左側に土間を延長して、居室とは室内窓でつなげています。
上着などが掛けられるハンガーパイプも天井に設置。
奥のブルーのクロスもアクセントになっていておしゃれですね。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_k100.html
土間リフォーム事例②|土間とSICを両方新設
【マンション|築15年|リフォーム面積 約80㎡】
こちらは同じマンションでも、角部屋で玄関横に窓がない間取りです。
一般的な下足収納のみだった玄関を拡げて、洗面室スペースの一部をつかって土間収納にしました。
土間収納には靴の一部のほか、趣味のものや防災用品などをしまっています。
シューズインクローゼットは反対側にあり、土間ではなくウォークインクローゼットとつなげました。
まずWICで身支度をしてからSICで靴を選びそのまま玄関へ、という動線ですね。
WICからは廊下側にもリビング側にも抜けることができる2WAY動線となっています。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_h61.html
土間リフォーム事例③|玄関横のひと部屋を土間に
【戸建て|築22年|リフォーム面積 約118㎡】
続いては戸建ての土間収納です。玄関入って右側壁に板を貼り、靴をたっぷりしまえるオープンラックを設置。
これだけでも収納力がアップしていますが、手前側の壁を抜き、和室ひとつ分を土間にしました。
玄関からは、モルタルで仕上げた床がつながっています。
そのスペースがこちら。
6畳分あるので趣味のキャンプ用品をまとめて収納し、点検やお手入れなどもできます。
掃き出し窓からは、外の車へと出し入れもラクラク。
とても日当たりがいいので、ここでお茶を楽しむこともあるのだそう。
まとめ
収納に限らず、多目的に使える土間はとても便利なもの。また、玄関を入った時に広がる空間が、おうち全体の印象をゆったりしたものに変えてくれます。「でも、居室スペースが狭くなるのはちょっとな・・・」という方には、シューズボックスの奥行分40cmほどを廊下側に伸ばしたり、玄関横のサービスルームのデッドスペースを使うなどの工夫もできますよ、と黒沢プランナー。
オープン棚+プチ土間スペースで、キャンプ用品を取り出しやすく収納したI様邸
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_i63.html
今回ご紹介したマンション事例のように、上がり框を斜めにすることで視覚的な広がりを感じさせることも可能です。「土間の使い方や外出時の動線は住む人によってさまざまなので、一緒にシミュレーションしながらご提案します!」とのことでした。