【プランナー監修】ペットも家族。みんな幸せに、美しく暮らすためのリノベーションの工夫
2024年2月13日(火)
トイレや爪とぎ、抜け毛やいたずらなど「ペットがいる家では、インテリアを楽しむなんてムリ・・・」とあきらめている飼い主さんも多いかもしれません。でも、それらの多くはリノベーションで解決できるんです!大切な家族であるペットも人も快適に過ごすためのアイデアを、自身もワンちゃん、ネコちゃんが大好きなプロデューサー兼チーフプランナーに聞いてきました。
お話を伺ったのは・・・
チーフプランナー 渡辺ノリエ
二級建築士、スタイル工房チーフプランナー。マンション、ツーバイや築古の戸建てなど、
難易度の高いリノベーションにも数多く携わる。お客様やメンバーと共に心地の良い暮らしを導き出す。
珪藻土の壁。塗りの自然な陰影も魅力のひとつ。
「ビニールクロスの壁は、家電の裏などがよく黒く汚れたりしますよね。あれは静電気がホコリを集めるためです。静電気は、ホコリが帯びているわずかな電気と、ビニールクロスの電気が引き合って起こりますが、無機材である珪藻土は帯電しないため、ホコリや抜け毛が吸着しないんです」。
無垢材も合板のフローリングなどよりも帯電しにくい性質を持っているため、ホコリや抜け毛が舞いにくく、お掃除がしやすいのです。
「とはいえお掃除しなくてもイイ、という訳ではないため、ペットと暮らす多くのおうちはお掃除ロボットを導入していますね。リノベーションでは、吊り戸などを採用して床をフラットにすることで家じゅうをお掃除ロボットが通れるようにしたり、電源を備えた基地をご提案しています」。
お掃除ロボットは、基地をつくってスッキリと!かさばるクリーンベースも扉で隠せます。
「リノベーションで爪とぎスペースをつくってあげる飼い主さんは多いです。柱にロープを巻いたり、キャットステップに爪とぎを組み込んだり・・・。段ボールの爪とぎと違ってジャマにならないため、飼い主さんはインテリアを楽しむことができますよ」。
ロープを巻き付けた柱は、キャットステップとセットで作ることも多いそう。
ただし、いくら爪とぎを用意しても「壁で爪を研ぐのが好きニャ!」という猫ちゃんもいますよね・・・。
「そんなおうちでは、腰壁をご提案しています。クロスの場合は、下半分を強化クロスにして切り換えのラインをつくり、もし爪とぎでボロボロになって張り替えの必要があったとしても、全体を替えなくてもいいようにした例があります」。
壁に切り替えをつくって、下半分だけクロスを張り替えやすいようにしました。
「ネコちゃんのトイレは、洗面室やトイレを広めにプランニングして、置き場所をつくってあげることが多いですね。洗面室はすぐに手が洗えるので衛生的にオススメ。トイレならうんちなどがそのまま流せるので、お掃除しやすいという利点があります。普段から人がいるわけではないため、ネコちゃんが落ち着ける場所でもあります」。
壁にペットゲートをつけたりペットドアを設置して、好きな時に出入りができるようにするのもポイントだそうです。
洗面カウンターの下にふたつ。向かいの壁には、ペット専用の入り口もふたつ。
サイズに合わせた囲いも造作。トイレに流せる猫砂をつかえば、お掃除ラクラクです。
廊下の収納の下部を開けてご飯とトイレコーナーにしました。
「ワンちゃんについては、ケージにペットシートを敷くことが多いので、ケージごとリビングの一角に。リビング収納の一部に組み込んで、隠しつつも飼い主さんの気配がそばに感じられるようにします」。
ケージの大きさに合わせてリビング収納を造作したので、見た目もスッキリ。
LDKの一部にはリノリウム床材を貼り、ケージを置くペットスペースに。引き戸で仕切ることも可能。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_m10.html
いずれにしても、使いたいトイレやケージのサイズが分かっていれば、それに合わせてプランニングできるため、よりスッキリと収めることができますよ、とのことでした。
マンションのリビングと寝室の間の壁に。キャットステップの上と下、どちらからも出入り自由!
テレビの下にアールの入り口が。ほかにおうち型などにもできます。
こちらはワンちゃん用。巾木とデザインを合わせているため違和感ゼロです。
気になるのが、ペットゲートをつくる場所。壁に穴を開ける場合は、どこでも開けることが可能なのでしょうか?
「マンションはコンクリートの構造壁以外の内壁であれば可能です。戸建ての場合は、2×4構造で建てられたおうちの構造壁は穴を開けることはできません。図面を拝見すれば、どの壁がNGかのだいたいの見当はつきます。もし壁に穴を開けられない場合は、ペットドアで対応。ペットドアも造作で好きなデザインにできますよ」。
造作ペットドアも、好きな色やデザインが実現可能。こんなかわいいドアも!
「逆に、ペットに入ってほしくない場所にはペットガードを付けましょう。玄関やキッチンなどに、こちらも好きなデザインや素材で造作することができます」。
食いしん坊で好奇心旺盛なワンちゃんのために、キッチン入り口にタモ材で造作。
玄関からの脱走防止に、壁に引き込むタイプのゲートをチェリー材で。
既製品の後付けペットゲートはデザインがイマイチのことが多いですが、これならお家全体のインテリアに合わせることができますね!
「リノベーションなら、ドッグスパもエクステリアに合わせて造作できます。最近はお湯が出る仕様にすることが多いですね。ワンちゃんもですが、飼い主さんも冬は寒いですから」。
レンガづくりのドッグスパ。外でドロンコ遊びしたって大丈夫!
マンションや小型犬の場合は、シンクの広い洗面台を玄関の側に配置することも多いそうです。
「また、床材を工夫するのもオススメです。玄関まわりは、外で濡れて帰ってきても拭き掃除できるフロアタイルが人気ですね。階段などは滑りにくくお掃除しやすいコルクタイルを採用することも多いです」。
濡れて入ることもある玄関は三和土の上までタイル、階段は滑りにくいコルクに。
「たとえば、熱帯魚を買ってらっしゃるお客様。水槽は大きさがあり、ボンベなどの付属品もあるためリノベーションでスッキリ納まる場所をつくることが多いですね。ペットの環境はもちろん、お掃除やお水換えなどがしやすい配置を考えます」。
水槽の下の棚にボンベなどが入っています。すぐ外のベランダで水換えできる配置。
日当たりのいい窓際に、デスクなどを組み合わせたペットの居場所をつくりました。住民はハリネズミさん!
「飼育ノウハウのサイトや本はたくさんありますが、ペットによってかなり個体差があります。珪藻土の壁ではネコは爪をとがないといわれていますが、とぐコに会ったことも。ワンちゃん、ネコちゃんに限らず家族みんなが快適に暮らせるリノベーションを一緒に考えましょう!」
そして飼い主さんにも、インテリアやおうち時間をもっと楽しんでほしい、とのことでした。ぜひ、リノベーションの打合せでも、「ウチのコ自慢」をしながら、ペットも人も嬉しい最適解を見つけていただきたいです。
お話を伺ったのは・・・
チーフプランナー 渡辺ノリエ
二級建築士、スタイル工房チーフプランナー。マンション、ツーバイや築古の戸建てなど、
難易度の高いリノベーションにも数多く携わる。お客様やメンバーと共に心地の良い暮らしを導き出す。
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目次
- 換毛期がゆううつ・・・抜け毛が舞うわが家からの脱却
- 止められない爪とぎは、壁の素材でなんとか切り抜ける
- 目立たずペットが使いやすいトイレ&ケージの置き場所は?
- 行き来が楽しいペットゲート&安心の造作ペットガード
- お散歩好きな犬も楽しい、お掃除しやすく人も嬉しい!
- まとめ:犬や猫だけじゃない!ほかにもこんなペットリノベ
換毛期がゆううつ・・・抜け毛が舞うわが家からの脱却
抜け毛が舞いにくい環境づくりと、お掃除しやすさがポイント
「ペットのニオイ対策で採用される珪藻土の壁ですが、実は抜け毛が舞いにくいというメリットもあるんです」と渡辺プランナー。他にも無垢の床など、化学製品でできたクロスやフローリングよりも静電気が起きにくく、毛が舞いにくいのだそうです。珪藻土の壁。塗りの自然な陰影も魅力のひとつ。
「ビニールクロスの壁は、家電の裏などがよく黒く汚れたりしますよね。あれは静電気がホコリを集めるためです。静電気は、ホコリが帯びているわずかな電気と、ビニールクロスの電気が引き合って起こりますが、無機材である珪藻土は帯電しないため、ホコリや抜け毛が吸着しないんです」。
無垢材も合板のフローリングなどよりも帯電しにくい性質を持っているため、ホコリや抜け毛が舞いにくく、お掃除がしやすいのです。
「とはいえお掃除しなくてもイイ、という訳ではないため、ペットと暮らす多くのおうちはお掃除ロボットを導入していますね。リノベーションでは、吊り戸などを採用して床をフラットにすることで家じゅうをお掃除ロボットが通れるようにしたり、電源を備えた基地をご提案しています」。
お掃除ロボットは、基地をつくってスッキリと!かさばるクリーンベースも扉で隠せます。
止められない爪とぎは、壁の素材でなんとか切り抜ける
爪とぎを用意しても、どこで研ぐかは猫さま次第
つづいては、なかなか止めることのできない猫の爪とぎ。「ココではやめて~!」といっても聞いてもらえるはずもなく・・・インテリアを犠牲にしてあちこちに爪とぎを置いていても、気が向くと壁でバリバリ・・・。「リノベーションで爪とぎスペースをつくってあげる飼い主さんは多いです。柱にロープを巻いたり、キャットステップに爪とぎを組み込んだり・・・。段ボールの爪とぎと違ってジャマにならないため、飼い主さんはインテリアを楽しむことができますよ」。
ロープを巻き付けた柱は、キャットステップとセットで作ることも多いそう。
ただし、いくら爪とぎを用意しても「壁で爪を研ぐのが好きニャ!」という猫ちゃんもいますよね・・・。
「そんなおうちでは、腰壁をご提案しています。クロスの場合は、下半分を強化クロスにして切り換えのラインをつくり、もし爪とぎでボロボロになって張り替えの必要があったとしても、全体を替えなくてもいいようにした例があります」。
壁に切り替えをつくって、下半分だけクロスを張り替えやすいようにしました。
目立たずペットが使いやすいトイレ&ケージの置き場所は?
ネコは少し離れたところに、ワンちゃんは飼い主さんのそばに
飼っているネコの数+1個置くのが理想的といわれるトイレ。衛生面を考えると、人が集まる場所にはなるべく置きたくないですが、ネコが用を足しやすい場所でなくてはいけません。「ネコちゃんのトイレは、洗面室やトイレを広めにプランニングして、置き場所をつくってあげることが多いですね。洗面室はすぐに手が洗えるので衛生的にオススメ。トイレならうんちなどがそのまま流せるので、お掃除しやすいという利点があります。普段から人がいるわけではないため、ネコちゃんが落ち着ける場所でもあります」。
壁にペットゲートをつけたりペットドアを設置して、好きな時に出入りができるようにするのもポイントだそうです。
洗面カウンターの下にふたつ。向かいの壁には、ペット専用の入り口もふたつ。
サイズに合わせた囲いも造作。トイレに流せる猫砂をつかえば、お掃除ラクラクです。
廊下の収納の下部を開けてご飯とトイレコーナーにしました。
「ワンちゃんについては、ケージにペットシートを敷くことが多いので、ケージごとリビングの一角に。リビング収納の一部に組み込んで、隠しつつも飼い主さんの気配がそばに感じられるようにします」。
ケージの大きさに合わせてリビング収納を造作したので、見た目もスッキリ。
LDKの一部にはリノリウム床材を貼り、ケージを置くペットスペースに。引き戸で仕切ることも可能。
https://www.stylekoubou.com/sekou/works/sekou_m10.html
いずれにしても、使いたいトイレやケージのサイズが分かっていれば、それに合わせてプランニングできるため、よりスッキリと収めることができますよ、とのことでした。
行き来が楽しいペットゲート&安心の造作ペットガード
どこにでも設置OK?どんな風につくればおしゃれ?
ネコちゃんトイレの例にもあったペットの入り口。リノベーションなら、ペットドアだけでなく、壁に直接穴を開けてつくることも可能です。マンションのリビングと寝室の間の壁に。キャットステップの上と下、どちらからも出入り自由!
テレビの下にアールの入り口が。ほかにおうち型などにもできます。
こちらはワンちゃん用。巾木とデザインを合わせているため違和感ゼロです。
気になるのが、ペットゲートをつくる場所。壁に穴を開ける場合は、どこでも開けることが可能なのでしょうか?
「マンションはコンクリートの構造壁以外の内壁であれば可能です。戸建ての場合は、2×4構造で建てられたおうちの構造壁は穴を開けることはできません。図面を拝見すれば、どの壁がNGかのだいたいの見当はつきます。もし壁に穴を開けられない場合は、ペットドアで対応。ペットドアも造作で好きなデザインにできますよ」。
造作ペットドアも、好きな色やデザインが実現可能。こんなかわいいドアも!
「逆に、ペットに入ってほしくない場所にはペットガードを付けましょう。玄関やキッチンなどに、こちらも好きなデザインや素材で造作することができます」。
食いしん坊で好奇心旺盛なワンちゃんのために、キッチン入り口にタモ材で造作。
玄関からの脱走防止に、壁に引き込むタイプのゲートをチェリー材で。
既製品の後付けペットゲートはデザインがイマイチのことが多いですが、これならお家全体のインテリアに合わせることができますね!
お散歩好きな犬も楽しい、お掃除しやすく人も嬉しい!
外の汚れを室内に持ち込まないペットスパや床材の工夫
ネコと違って、お外にお散歩にいくワンちゃん。戸建ての場合は、エントランスに欲しいのがドックスパ(足洗い場)です。「リノベーションなら、ドッグスパもエクステリアに合わせて造作できます。最近はお湯が出る仕様にすることが多いですね。ワンちゃんもですが、飼い主さんも冬は寒いですから」。
レンガづくりのドッグスパ。外でドロンコ遊びしたって大丈夫!
マンションや小型犬の場合は、シンクの広い洗面台を玄関の側に配置することも多いそうです。
「また、床材を工夫するのもオススメです。玄関まわりは、外で濡れて帰ってきても拭き掃除できるフロアタイルが人気ですね。階段などは滑りにくくお掃除しやすいコルクタイルを採用することも多いです」。
濡れて入ることもある玄関は三和土の上までタイル、階段は滑りにくいコルクに。
まとめ:犬や猫だけじゃない!ほかにもこんなペットリノベ
自分で動けないペットには、快適な環境をつくってあげる
ワンちゃんとネコちゃんを中心にペットリノベについてお聞きしましたが、他にもさまざまなペットと暮らすお客様がいらっしゃいます。「たとえば、熱帯魚を買ってらっしゃるお客様。水槽は大きさがあり、ボンベなどの付属品もあるためリノベーションでスッキリ納まる場所をつくることが多いですね。ペットの環境はもちろん、お掃除やお水換えなどがしやすい配置を考えます」。
水槽の下の棚にボンベなどが入っています。すぐ外のベランダで水換えできる配置。
日当たりのいい窓際に、デスクなどを組み合わせたペットの居場所をつくりました。住民はハリネズミさん!
「飼育ノウハウのサイトや本はたくさんありますが、ペットによってかなり個体差があります。珪藻土の壁ではネコは爪をとがないといわれていますが、とぐコに会ったことも。ワンちゃん、ネコちゃんに限らず家族みんなが快適に暮らせるリノベーションを一緒に考えましょう!」
そして飼い主さんにも、インテリアやおうち時間をもっと楽しんでほしい、とのことでした。ぜひ、リノベーションの打合せでも、「ウチのコ自慢」をしながら、ペットも人も嬉しい最適解を見つけていただきたいです。