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【プランナー監修】天井を抜くと、空間がこんなに開放的に!リノベーション時のポイントは?

2024年7月23日(火)
㎡数は変えられなくても、高さを出すことで空間に大きな開放感が生まれます。そのための有効な方法が、リノベーションで天井を抜いて吹き抜けや勾配天井をつくること。今回は、天井を抜くときのポイントやメリット・デメリットをスタイル工房の鈴木プランナーに聞いてきました。天井を抜いた事例もあわせてご紹介します。


鈴木ゆり子
一級建築士、スタイル工房チーフプランナー

お施主様と綿密なコミュニケーションを取りながら問題を解決、マンション・戸建て共に数多くのリノベーションに携わってきた。



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目次

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天井を抜くことで得られるメリットとデメリットは?

「メリットは、なんといっても採光と開放感です!」

鈴木プランナーによると、天井を抜くリノベーションには、主に以下の3パターンがあるそう。

1 戸建ての1階天井を抜いて、吹抜けをつくる
2 戸建ての2階の天井を抜いて、勾配天井をつくる
3 マンションの天井板を撤去して、コンクリートスラブ(構造)を見せる

「いずれも縦空間の広がりによって、開放感が格段に高まります。①の場合は2階床を抜くことにもなるため部屋数は減りますが、暗くなりがちな1階リビングがぐんと明るく、過ごしやすくなります。

戸建ての場合は梁が出てくるので、塗装してインテリアのアクセントにすることもできますね。

マンションでは、天井板を撤去することで出てくるコンクリート肌のラフな質感を楽しんだり、インテリアイメージに合わせて塗装することもあります」

「デメリットとしては、空間が広がるぶん、冷暖房効率は下がります。さらに、外気に近くなるため夏は熱が、冬は冷気が室内に伝わりやすくなります。

このような問題を解決するために、戸建てでは同時に断熱工事も施しています。屋根に断熱材を入れて、熱交換型の換気扇を設置することで、温度が均一になりますよ。

マンションの場合は、内装材を撤去することで上に音が伝わりやすくなるのが難点。特にスラブが薄い築古のマンションは要注意です」

 

天井を抜くときのポイントは?抜けない家もあるの?

「工法によっては抜けない家も。中古購入では必ず確認して」

天井を抜きたい!というときに、注意するべき点はあるのでしょうか?特に戸建ての場合は、天井を抜くと耐震性が下がりそうで心配な気がしてしまいます……。

「設計の際は、建物全体の構造や耐震性をしっかり検討していますよ。耐震性を確保するために、新たに梁を加えることもあります。

天井を抜くような大きい工事のときは、安全に関わる耐震性と住み心地に関わる断熱性能をしっかり考えていますので、ご安心ください!」

それでは、構造上の問題で「天井を抜けない」というケースもあり得るのでしょか?

「いくつかのハウスメーカーが採用している壁式工法の家は抜けない場合があります。主に柱や梁で支える木造在来工法と違い、壁式では面で建物を支えます。

上の階の床と天井が一体で耐震性を保っているため、撤去することが難しいんです」

中古戸建てを購入してリノベーションを考えている場合は、どんな工法で建てられた家なのかを必ず確認するようにしましょう。

それでは実際の事例を見てみましょう!

 

リノベ事例①|リビングに吹き抜けをつくって薪ストーブを移設

【戸建て|築31年|リノベーション面積 約140㎡】

最初にご紹介するのは、ご実家を引き継いでリノベーションした例。
お子さまも独立して夫婦ふたりの生活を考えるタイミングで、住み替えを決意されました。


将来を考えて、1階中心で暮らせるようにリビングダイニングを1階に移動。
壁を取り払ってほぼワンフロアの大空間LDKをつくりました。
気になっていた1階の暗さを、吹き抜けの新設で解消しています。


それまでお住まいだった家から薪ストーブを移設し、煙突を吹き抜けにまっすぐに伸ばしました。
これも、吹き抜けならではの楽しみ方です!

 
ふたり暮らしに合わせて、間取りも5LDK+WICから3LDK+Sへ。
木の香りあふれる居心地のよい住まいができあがりました。

 

リノベ事例②|傾斜地の眺望を生かして縦にものびやかな空間に

【戸建て|築38年|リノベーション面積 約97㎡】


続いても1階リビングで、中古戸建てを購入してのリノベーションです。
斜面に浮いているようなつくりのおうちの、見晴らしの良いリビングにさらに吹き抜けを新設しました。

 
上部にはシーリングファンも設置して、空気が循環するように配慮。
梁に設置したカゴのようなペンダントライトも、「アフリカの大地」という希望のイメージにぴったりです。
間取りも4LDKからゆったりとした2LDKに変更。
ほぼひと部屋分のスペースをとった玄関土間など、自分たちに合わせた使い勝手にカスタマイズしました。

 

リノベ事例③|2階リビングの天井を抜いて勾配部分を塗装

【戸建て|築18年|リノベーション面積 約100㎡】

最後は2階の天井を抜いた例をご紹介します。

LDKを1階から2階に移し、屋根を支える構造を組み替えて勾配天井にし、カラークロスで仕上げました。
正方形の窓が3つ並んだ部分は既存のロフトで、畳コーナーから本棚状の階段でつながります。


ダイニングルームの天井が上がることで、開放感がぐんとアップ。
ロフト下の畳コーナーとは、天井高のメリハリで空間をゾーニングしています。
2本並んだ梁や柱も、空間に木のぬくもりを添えるアクセントになっていますね。

 

まとめ

天井を抜くことで得られるメリットは、想像以上の開放感。その反面、戸建ての場合は耐震性や断熱性能に関わるため、ただ抜くだけでは済まないことも分かっていただけたのではないでしょうか。
「もっと開放感が欲しい!」「吹き抜けって憧れる」等など、もし気になったらぜひご相談を。天井を抜くことも含め、さらに楽しく暮らしやすくなるおうちのアイデアが生まれるかもしれません。
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